『不愉快な本の続編』 絲山 秋子
乾は頭もいいし、要領もいい、ルックスもいい、たいていのことは直ぐにできちゃう器用な人なだけに、どこか世の中をバカにしてたんだろうなぁ。
究極の器用貧乏になってしまった彼は、自分の可能性に興味がなくなっちゃったのね。もっといろんなことができただろうに、そんなことであくせくするより適当に生きていこうってポリシーを持ってたんだろうね。
乾は悪人ぶっているけれど、言っている事はほとんどが正論なのよね。彼から借金して逃げている男の方がよっぽど悪い奴なんだけど、ちっとも自分の非を認めてないじゃない!世の中ってそんなものかなぁって思います。
乾がずっとコンプレックスとして持っているアレだってね、そんなに大したことないと思うんだな。みんな多かれ少なかれ変な部分を持っていて、それをどのくらい気にしているかだけの差なのにね。
1339冊目(今年80冊目)☆☆☆☆
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