『サヴァイヴ』 近藤 史恵
どんなスポーツでも、どんな仕事でも、リーダーとなる人と、その人を支える大勢の人でチームが構成されています。目立つのはトップにいる人だけかもしれないけれど、それぞれの役割をキッチリと果たさないことには、成功はありえないのです。
自転車ロードレースのチームでは、短距離ダッシュが得意な人、山道が得意な人、気配りが効く人、献身的な人、そういう人たちをうまく組み合わせてチームを作っていこうとするのだけれど、全員がカチッと収まるのはなかなか難しいものです。
エースの為に献身的に頑張る選手だって、エースが目立つことによって自分の存在意義を上げたいと思っているのだし、エースだって周りの努力なしに自分が勝つことができないって事も分かっているのだし。
でも、それぞれにエゴがあって、ウマが合わない人もいれば、普段は話もしないけどレース中だけは気が合うって人もいるしね。
どんな役目を果たしていくにしても、自分の能力をちゃんと出していかないと、来年の契約は無くなってしまうのです。自転車が好きでレーサーになったけど、選手として活躍できるのは運が良くて10数年。身体を痛めてしまえば即引退って事もあります。
厳しい世界だから、そこで生き残っていくには、情熱をどこまで燃やし続けられるかってことなのかなぁ?
これまでの2作のスピンオフものなので、こういう物語があって、チカに続いていくんだなぁって気持ちで読んでいました。
是非ともサクリファイスとエデンを読んでから、この本を手に取ってくださいね。
1371冊目(今年12冊目)☆☆☆☆☆
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そういえばサッカー日本代表の方々も、そういった本だされてますね。
投稿: 日月 | 2012年2月 7日 (火) 17:43
日月さん☆こんばんは
肉体の能力+精神力 が揃わないと一流にはなれないって、ホントに大変なことです。
ただ頑張れっていうのではなく、ブレない心を持てる人を育てる環境を作りたいですねぇ。
投稿: Roko(日月さんへ) | 2012年2月 7日 (火) 22:10