『サヴァイヴ』 近藤史恵
どんなスポーツでも、どんな仕事でも、リーダーとなる人と、その人を支える大勢の人でチームが構成されています。目立つのはトップにいる人だけかもしれないけれど、それぞれの役割をキッチリと果たさないことには、成功はありえないのです。
自転車ロードレースのチームでは、短距離ダッシュが得意な人、山道が得意な人、気配りが効く人、献身的な人、そういう人たちをうまく組み合わせてチームを作っていこうとするのだけれど、全員がカチッと収まるのはなかなか難しいものです。
エースの為に献身的に頑張る選手だって、エースが目立つことによって自分の存在意義を上げたいと思っているのだし、エースだって周りの努力なしに自分が勝つことができないって事も分かっているのだし。
でも、それぞれにエゴがあって、ウマが合わない人もいれば、普段は話もしないけどレース中だけは気が合うって人もいるしね。
どんな役目を果たしていくにしても、自分の能力をちゃんと出していかないと、来年の契約は無くなってしまうのです。自転車が好きでレーサーになったけど、選手として活躍できるのは運が良くて10数年。身体を痛めてしまえば即引退って事もあります。
厳しい世界だから、そこで生き残っていくには、情熱をどこまで燃やし続けられるかってことなのかなぁ?
これまでの2作のスピンオフものなので、こういう物語があって、チカに続いていくんだなぁって気持ちで読んでいました。
是非ともサクリファイスとエデンを読んでから、この本を手に取ってくださいね。
1371冊目(今年12冊目)☆☆☆☆☆
« 『科学的とはどういう意味か』 森博嗣 | トップページ | 第46回スーパーボウルのハーフタイムショー »
「日本の作家 か行」カテゴリの記事
- 『日本語教師、外国人に日本語を学ぶ』 北村浩子 25-128-3524(2025.05.11)
- 『発達障害は治りますか』 神田橋條治 25-125-3521(2025.05.08)
- 『東京都同情塔』 九段理江 25-121-3517(2025.05.04)
- 『山の上の家事学校』 近藤史恵 25-99-3495(2025.04.12)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『サヴァイヴ』 近藤史恵:
» 「サヴァイヴ」近藤史恵 [心に残る本]
娘から「サヴァイヴどうする?」というメールが来ました。
新作の映画か何かかと思い「何それ?」と返信したら「ググリなさい」と返事。
調べてみたら、なんと、近藤史恵の最新作ではないですか。うかつでし...... [続きを読む]
» 美しくも残酷な自転車ロードレースの世界。「サヴァイヴ」 近藤 史恵 [日々の書付]
自転車ロードレース界を舞台にした名作「サクリファイス」、「エデン」のスピンオフ短編「サヴァイヴ」。「サクリファイス」や「エデン」前後の登場人物たちの様子が語られます。
レースでは強気の伊庭が家庭にめんどくさい問題を抱えていたり、一匹狼のエース・石尾に振り回されるアシストの赤城の姿だったり。長編二作より登場人物たちの性格や感情、家庭環境など意外な一面が明らかになっていました。
そして、レースに潜む「魔物」と戦う選手たち。彼らのなかにはプレッシャーに潰され自滅するものも多い。明日は我が身だと思い... [続きを読む]
ロードレースに限らないのでしょうが、周りの心ない声にブレない精神力がアスリートには一番必要ものかもしれません。身近な仲間がすぐに足元をすくわれるところをみても、自分を整えてレースに望まなくてはいけないし…。
そういえばサッカー日本代表の方々も、そういった本だされてますね。
投稿: 日月 | 2012年2月 7日 (火) 17:43
日月さん☆こんばんは
肉体の能力+精神力 が揃わないと一流にはなれないって、ホントに大変なことです。
ただ頑張れっていうのではなく、ブレない心を持てる人を育てる環境を作りたいですねぇ。
投稿: Roko(日月さんへ) | 2012年2月 7日 (火) 22:10