『〈変態〉の時代』 菅野聡美
子供のころ、「11PMってエッチな番組だよね!」なんて会話してましたが(この話題が分かる人は少なくなった)、この「エッチ」というのは「変態」の頭文字Hから生まれた言葉なんだそうです。この言葉も今はかなり進化して「Hする」なんていう動詞にまでなってしまっています。
「変態」という言葉を辞書で調べてみると、大きく分けて3つの意味があります。
1.形や状態を変えること。また、その形や状態。
2.普通の状態と違うこと。異常な、または病的な状態。
3.性的倒錯があって、性行動が普通ではない状態。
この本で取り上げられているのは 3の意味の部分なのですが、 これもまた時代によって線引きがかなり違っているのです。
「変態」という言葉が生まれた大正時代の頃、文字通り普通じゃない事としての「変態」が研究されていたのですが、いつからか性的なものに注目が集まるようになっていったのでした。
宮武外骨、中村古峡、江戸川乱歩、梅原北明といった人たちが、この研究をしていたというのは知っていましたが、南方熊楠がこの本に登場するとは思いもしませんでした。留学中に様々な研究をしていた熊楠は、同性愛に関する研究もかなり熱心になさっていたそうです。
誰にだって人に言えないような事ってあるはずです。でも、世の中にはこんなに変な人がいるじゃないか。それと比べれば自分は至って真面目なのだと思いたいから、そういうものに興味を持ってしまうのではないかしら?
そして今の世の中は、他人より秀でることを目指すのではなく、目立たず、清潔に、堅実に、という方向へ向かっています。そんな時代だからこそ「普通ではないもの」を求める気持ちが強まって行くのではないかと思えてくるのです。
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