『仙台ぐらし』 伊坂幸太郎
この本には、定期刊行物『仙台学』に書かれていたエッセイと、震災後に書かれた短編が収められています。
震災前と後とで、ガラッと雰囲気が変わっているのが良く分かります。被災したことによって、心理的に弱ってしまうことの怖さを感じました。何をしたらいいのか分からなくなってしまうと、言いようのない不安に駆られてしまうのですね。
食料を買うために店の前で行列するということくらいでも、「やることがあってホッとした」というのは、平常時には考えられない心理状態なのでしょう。
家が壊れる、電気が使えない、水や食料がない、というような物理的な問題よりも、心理的な問題の方がはるかに大きいのだというのは、非常に難しい問題です。
震災で心が弱っている時に、娯楽など何の役にも立たないのだと伊坂さんは書かれていましたが、そういう状態が長く続いたら生きていくのが辛いでしょうね。
復興が進み、少しずつ生活にゆとりが出てきたら、やはり娯楽は大事なものです。心をなごませ、身体をゆるませ、明日への希望となる「楽しみ」が必要になってきます。
伊坂さん、みんなの活力となる面白い文章を心置きなく書いてくださいね!
1400冊目(今年41冊目)☆☆☆☆☆
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こんばんは。
震災が起きた時、伊坂さんは大丈夫だったかなとずっと心配していました。ご無事だという事が分かって安心し、またこういう本を出版したことで震災に対する想いを知ることが出来て良かったなと思います。
いろいろ大変だとは思いますが、やはり伊坂さんらしい作品を書き続けていただきたいなと思います。
投稿: 苗坊 | 2012年5月18日 (金) 21:54
苗坊さん☆おはようございます。
わたしもあの頃、伊坂さんはどうしてるんだろうと気になってました。
見た目では分からない痛みをみんな抱えているんだという事に、改めて気づかされました。
復興が進む中で、少しずつ伊坂さんらしさが戻ってきてくれればいいなぁ!
投稿: Roko(苗坊さんへ) | 2012年5月19日 (土) 08:19