『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』 ドミニク・チェン
クリエイティブ・コモンズによる創造の循環
フィルムアート社
1886年、著作権の国際的な取り決めを策定したベルヌ条約は、フランスの文豪にして政治家のビクトル・ユーゴーが中心となって策定された。(本文より)
こんなところでユーゴーの名前が出てくると思いませんでした。偉大な作家であるだけでなく、著作物の権利に対しても大きな貢献をなさったのですね。
著作権を守ること、著作権がフリーであること、その線引きについて考えることが最近増えてきました。
この点について、著者はこのようにまとめています。
1:読者に発見されないことは、作者やアーティストにとって海賊版以上の脅威である。
2:海賊行為は段階的な課税である。
3:読者は方法さえ提供されていれば正しい事をしたいと思っている。
4:海賊行為よりも万引きに被害の方が脅威である。
5:ファイル共有は書籍、音楽、映画を脅威にさらすものではなく、既存の出版社に変化を求めるものである。
6:「無償版」はより高品質な有償サービスに取って代わられる。
7:(こうした変化に対応するために)取れる方法はたくさんある。
メジャーな著作物に関しては、著作権を守らなければないという意識が強く働きますが、そうではないマイナーな、あるいはアマチュアの作品に関しては、同じ土俵では考えられないということが良く分かります。
個人的に使用する分にはフリーで提供するけれど、それを商用で使用する場合は著作権が発生しますという利用の仕方が、きっとこれからの主力となっていくのでしょうね。
インターネットにおけるフリーカルチャー力学は、国家権威、そして批評家や学者、専門家といった権威的な個人による旧態依然とした参照体系づくりの限界を示しています。
既存の大きなシステムは世の中をある方向へ向かって動かしてきました。ところが今、1個人が情報を簡単に流せるようになったのです。Twitter や Facebook にアップした記事をリツイートしたり、シェアしたりすることで、あっという間に大勢の人に伝わっていきます。
これまで大きな力が隠してきたものであっても、もう隠し切れません。たとえば、毎週金曜日に官邸前で行われている「脱原発デモ」に関する報道を、既存のマスコミは小さくしか扱いませんが、ネットでは毎回大きく伝えています。
その温度差を見るだけでも、これまでわたしたちが与えられてきた情報がいかに操作されたものであったのかが分かります。
誰かに作られた情報ではなく、すべての人が自由に発信する情報、それこそが未来を作るのだと信じたいです!
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