『決断する力』 猪瀬 直樹
震災は国難であり、国民としてどう課題を共有して乗り切るか、リーダーが決断しなければならない。リスクのない対処法などないのだから、こういうときは「変人」じゃないと乗り切れない。あれもこれもと意見を聞いてやっていたら、被災地の街からはいつまでもがれきの山はなくならない。被災者の復興への気持ちは萎えてしまう。
現在、東京都副知事をなさっている猪瀬さんが、昨年から今年にかけて決断された様々な事項について書かれた本です。役所の人ではないからこそできたこと、その記録と考察です。
3.11の地震の後、千葉のガスタンクが火事になった時、千葉県から援助要請が来る前に東京都は消防艇を派遣しました。自分の管轄内の仕事しかしないという、従来の役所の考え方ではありえなかったことです。
援助要請を待っていたら、助けられるものも助けられなくなるのだから、気が付いたら直ちに動くというのは人道的にいって正しい事なのに、
慣例、命令系統、マイナス査定、年功序列 ・・・ いらないものばかりが邪魔をします。
「責任は自分が取るから」と腹をくくったリーダーがいれば、そんなものは排除できると、東京都の行動は証明しています。
週末に体力をつくる。これ、あたりまえの備え。もうひとつ週末しかできないこと。本や資料を読み込む集中力、ある意味では月~金より土日のほうが仕事密度が高いと思った方がよいです。仕事とは、発想力があるかないかですから。
仕事をしていない時間にどれだけ仕込ができるか?そこの差こそが大きいと思います。勉強したり、身体を動かしたり、面白いものを見に行ったり、美味しいものを食べたり、友達と会話を楽しんだり、そういうことすべてが自分の地となり肉となるわけです。それをせずにいたら、まちがいなくジリ貧です!
わたしが最近よく考えているのは、「自分という人間にどれだけ投資をできるか?」ということです。投資ですから、必ずしもリターンがあると保障されているわけではありません。しかし何もしなかったら、それは0ではなく後退することを意味します。
公私を分けなければという考え方もありますが、自分の最大限のポテンシャルを発揮しようと思ったら、公私は混ざり合って1つになってしまうのでは?というのが、現在のわたしの考え方です。
どんなことであれ、つまらないと思っていることを勉強するのは辛いものです。そんなことをしたい人なんていないでしょう。仕事だからと言ったって、それはムリです。自分がしなければならないことに対して、ホンの1部分でもいいから興味を持てたら、そこを足掛かりにすれば勉強することが楽しくなるはずです。
その1部分を見出すために必要なのは好奇心です。好奇心が旺盛な人にとって、公私の区別なんてしているヒマはありません。仕事は遊びだし、遊びは仕事なのです。
六本木ヒルズはすべて自家発電でまかなっている。東電とはバックアップ契約、ふつうとは逆だ。これからは発電は東電独占という時代ではない。
これまで、それが当前だと思っていたこと、これしかないと思い込んでいたこと、それを打ち破るために必要なのは、疑問を持つこと、そして行動することだと思います。お仕着せのルールに騙されていないか?と日々考え続けることによって、決断をする力が少しずつ付いてくるのだと信じています。
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