『問題は、躁なんです』 春日武彦
「うつ」がどんどん深まり、ついに「うつ」の底が抜けるとどうなるか。躁に突入する。つまり躁は「うつ」よりもはるかにシリアスな病状を示している。(本文より)
この本を読んでいる間ずっと、わたしはある人の事を思い浮かべていました。決断力があって、行動的で、夢を語り、いつでもハイテンションなあたり、その人の行動は本当に、躁病の症状そのものなんです。
ただ単に自信過剰なのかと思っていたのだけど、躁だったのかぁ!
その行動力から、躁な人は良いイメージで捉えられている事が多いですよね。特に営業系とかアーティストの場合、そういうものだよって思われています。それがこの本を読んでいくにつれ、怖いなぁって思えてきました。
躁病になりやすい性質とは、周囲の人々と共振し自分で勝手に思い定めたキャラクターを演じ切ろうとするうちに失速してしまうような性向である。彼らは他人を、社会を必要とする。それなのに彼は躁という状態ゆえに孤立していく。
周りから期待されているであろうと思う行動を取るということを、わたしもやってしまう事があります。それが正しかったのか?と考えると、間違えたなと思う事もあるし、自分では失敗に気付かなかったけど、実は失敗だった可能性もあります。
人前で話をする時にはかなりテンションを上げているので、自分でも躁状態だなと思う事があります。そういう時は、仕事が終わった途端に脱力してしまいます。そういう気持ちの上げ下げがちゃんとできている間はイイけれど、上がりっ放しになったらマズイなと思います。だって、神経が磨り減るもの。
それを感じなくなるほどになるという事は、躁はとても危険な病気です!
ポジティブ思考がいいという思い込みが、「躁」を見逃してしまっているのだとしたら、病気の自覚がない「躁」の人は増える一方ということですよね。
「うつ」について書かれた本は沢山ありますが、「躁」についてこれだけまとまった文章を読んだのは初めてです。実に興味深い本でした。
この本は goldius さんにご紹介頂きました。ありがとうございます。
1440冊目(今年81冊目)☆☆☆☆☆☆
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