『自由をつくる自在に生きる』 森 博嗣
著者の森さんの素晴らしいところは、おっしゃる意見に筋が通っている所だと思います。だから説明がとても分かりやすいのです。感情論ではなく、理論で詰めていくから、とてもすっきりしているのです。だからわたしは、本を読みながら頷いてばかりいます。ホントおっしゃる通りだわぁってね。
健康は目的でない
不健康よりは健康の方がいいのは間違いないけど、健康のことばかり考えているってのは本末転倒の場合もあります。好きなことをするためにできるだけ健康でいたいというのは正論だと思うけど、健康であることが趣味となると、そりゃ違うだろうって思います。
わたしの友人のお父様は定年後、毎日に1万歩歩き、30品目の食材を使った食事をされていました。これだけだったら、単なる健康オタクなんですが、ここから先が問題なのです。
50代の頃に、家でボヤを出したことがあるのだそうです。それ以来、奥様に家を任せておいては危ないという危機感を持ってしまったようなのです。お父様は定年後、ほとんど外出をしなくなったのだそうです。なのに1万歩+30品目です。おまけに、ご自分で家事をなさることはなかったそうです。
これはもう、家族にとっては迷惑以外の何物でもなかったはずです。
個性に強いも弱いもない。良いも悪いもない。「個性がない」という状態がそもそもありえない
この世に同じ人は1人もいません。みんな違うからいいんです。なのに自分には個性がないと悩む人がいます。それは何故なんでしょうね?自分の事は自分が一番知っているとでも思っているからなのでしょうか?
子供の頃、友達の家に遊びに行くのが楽しみでした。他所の家には、とにかく珍しいものがたくさんありました。飛び抜けて凄い事があるわけじゃないんだけど、ウチにはないものを見つけては喜んでいました。どこの家にだって、誰にだって、何らかの違いが必ずあるんだから、個性的じゃないなんてありえないですよね。
考えることが面倒だ、行動することが面倒だといっていたら、生きていくことが面倒だというところへ行きついてしまう
この頃周りを見ていて思うんですけど、「考えること」って意識しないと忘れてしまうのかもしれません。去年の震災の時に、公共交通が止まったらどうなるかということをイヤというほど分かったはずなのに、この間の台風の時、相変わらず駅や空港に他人が溢れていました。その様子をニュースで見ながら思ったのです。
天気予報の予測通りに台風が来たのに、それを避けようと思わない人がこんなにいるのって何故なんだろう?
きっと台風が来るということは知っていたとは思うけど、それが自分にどう影響するかということを想像してないから、こうなっちゃうんだろうなぁ!自分の事すらも考えてない人がこんなにも多いって悲しいです。人間は考える葦なんだから!
自由であることにも、個性がある事にも気が付かないのも、結局は何も考えていないからなのでしょうね。ああ恐ろしや!
1441冊目(今年82冊目)☆☆☆☆☆
« 映画 「最強のふたり」 | トップページ | シネマ歌舞伎 「籠釣瓶花街 酔醒」 »
「日本の作家 ま行」カテゴリの記事
- 『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ 扉子と虚ろな夢』 三上延 76(2023.03.18)
- 『よはく手帳術』 miyu 60(2023.03.02)
- 『おにぎり猫のものがたり 第一巻』 ミケパンチ 56(2023.02.26)
- 『ジュリーの世界』 増山実 48(2023.02.18)
コメント