『往復書簡』 湊 かなえ
映画「北のカナリア」がとても良かったので、その原作であるこの本を読んでみました。ここには3篇の作品が収められています。
- 十年後の卒業文集
- 二十年後の宿題
- 十五年後の補習
映画の原作は「二十年後の宿題」でしたが、他の2作の雰囲気も含まれてるんだなぁと感じました。
子供の頃の出来事がその後の人生にどれだけの影響を与えるのか?それは難しい問題ですね。悲しみや苦しみをずっと引きずっている人もいれば、ずっと忘れていたはずなのに、突然つらい思い出がよみがえってくる人もいるでしょう。
それとは逆に、何十年もずっと信じていたことが実は違っていたという事に気が付いて、その呪縛から逃れることができる幸運な人もいるでしょう。
この本を読み終わって感じたのは、やっぱり湊さんの物語は怖いなぁということです。大人だろうが子供だろうが、悪意があるなしに関わらず、真実を隠したがるのはなぜなのでしょうね。嘘をついているという意識はないのだけれど、結果としては嘘になることの罪を感じない人が世の中には本当にたくさんいます。
他人だけでなく自分にすら嘘をついて生きている人がどうしてこんなに多いのでしょうか?嘘は嘘を呼び、自分自身すらも信じられなくなるのに、どうして止められないのでしょうか?
1474冊目(今年115冊目)☆☆☆☆☆
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どくしょ。るーむ。
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