『メイカーズ』 クリス・アンダーソン
NHK出版
わたしが子供だった頃、友達のお父さんがどんな仕事をしているのかを知っているのは当たり前でした。家で商売をしているか、工場をやっている家がほとんどだったのです。小学校のクラスの中で、お父さんがホワイトカラーのサラリーマンという家は非常に少なかったのです。
お父さんたちの職業は、お豆腐屋さん、パン屋さん、八百屋さん、メッキ屋さん、左官屋さん、鳶職、プレス工場、板金工場、家具職人、印鑑職人、ウチはオーダーの洋服屋、とにかくモノを作っている人が多かったのです。
日本は資源がないから、新しいものを作るんだ!というスローガンの下、製造業が日本を支えてきました。でも今は国内生産はどんどん減ってしまい、中国など海外での生産が増えて、日本は空洞化するばかりです。
この本の著者クリス・アンダーソンが生活しているアメリカは、日本より一歩お先に空洞化していました。ところが今は、国内での製造業が増えているのです。それは何故か?その答えがこの本の中にありました。
かつて生産業を始めようとしたときには、とにかく初期投資が大変だったんです。広い土地、大きな建物、大きな機械、そういうものを揃えない事には、何も始められなかったのですが、今は違います。
原因としてまず挙げられるのは技術の進歩です。工業製品のデザインは、CADを少し勉強すれば誰でもできるようになりました。更に、小ロットでも 生産できる手段が発達したのです。ですから、CADの図面があれば、見積もりなどもあっという間にできるし、生産自体も手早くできるようになったのです。
これまで海外に工場が移転していたのは、人件費が安いというのが最も大きな理由だったのですが、最近はそうでもなくなっています。人件費のかからないロボットを使えば、物価の高い場所であっても製造業が成り立つようになってきたのです。
勉強だけやって理屈をこねる時代はもう終わりにしましょうよ。やっぱり自分で何かを作るという満足感、達成感は大事ですからね。何かを作りだす事、それが自分の未来を作るのだという気持ちが膨らんできました。
1482冊目(今年7冊目)☆☆☆☆☆
« 映画 「レ・ミゼラブル」 | トップページ | 『わらの人』 山本 甲士 »
「海外 その他」カテゴリの記事
- 『思考の穴』 アン・ウーキョン 25-34-3430(2025.02.07)
- 『ウィローデールの手漕ぎ車 またはブラックドールの帰還』 エドワード・ゴーリー 24-357-3383(2024.12.17)
- 『台湾の少年 4 民主化の時代へ』 游珮芸、周見信 24-339-3365(2024.11.29)
- 『台湾の少年 3 戒厳令下の編集者』 游珮芸、周見信 24-331-3357(2024.11.21)
- 『台湾の少年 2 収容所島の十年』 游珮芸、周見信 24-323-3349 (2024.11.13)
「ビジネス・経済」カテゴリの記事
- 『サーキュラーエコノミー実践』 安居昭博 25-39-3435(2025.02.12)
- 『世界秩序が変わるとき』 齋藤ジン 25-35-3431(2025.02.08)
- 『異次元緩和の罪と罰』 山本謙三 24-349-3375(2024.12.09)
- 『87歳、現役トレーダー シゲルさん』 藤本茂 24-302-3328(2024.10.23)
- 『アフリカで、バッグの会社はじめました』 江口絵理 24-164(2024.06.08)
こんにちは。
「Makers」お読みになったのですね。
3Dプリンターの値段が格安になったことで大きな工場や初期費用が無くても起業できメーカーになれるって、革命的ですよね。
自分の手で作り出せるっていいですよね(才能があれば・・・ですが)
マネーに踊らされるのでなく、ものを造り出す製造業が報われる世の中に戻って欲しいものです。
投稿: ryoko | 2013年2月 5日 (火) 09:49
ryokoさん☆こんばんは
3Dプリンターが安くなるにしたがって、物作りの形が急激に変わっていくのでしょうね。
小学校の図画工作の時間に使えるような時代が、すぐにやってくるかもしれません。
投稿: Roko(ryokoさんへ) | 2013年2月 5日 (火) 23:55