『コミュニティが顧客を連れてくる』 久繁 哲之介
「景気が悪い」がすっかり合言葉のようになってしまっている最近。地方都市の商店街では閉店するお店が増えて、「歯抜け商店街」だったり、「シャッター商店街」だったりという所が増えています。都心のテナントビルでも、以前より入れ替わりが激しくなっています。
なんとか営業を続けている店舗であっても、その内実はかなり厳しいという話をあちらこちらで聞きます。値段で勝負したら大手には敵わないし、かといってセールをしない訳にもいかないし、そもそもお客様が減ってるし、なんてね。
一度お店に来て下さったお客様に、再び来ていただくにはどうすればいいのか?その部分をコンサルタント会社にお金を払って勉強してみても、それを正しく使えなければ何の意味もありません。
この本で例として挙がっていたのが、買い物をした後に送られてくる「サンキューメール」でした。ある人が買い物をしたら、その店からサンキューメールが来ました。そこの店主の愛想が悪かったのにメールが来たので不審に思い、友達にそれを見せたら、同じ商店街の他の店でも全く同じ文面のメールを使っていたというのです。
サンキューメールを商店街全体で運用していたということは悪い事ではないけれど、文面まで同じというのは余りにも手抜きですよね。それに、本当に大事なのはサンキューメールではなく、お店の人の接客態度ですものね。
長い事同じ仕事をしていると、それが当たり前になってしまって気付けなくなってしまうことが沢山あります。商品説明の仕方とか、お金の受け渡し、電話への出方 ・・・ etc.
自分が買い物に行った時に、こういう対応をされて嬉しかったとか、嫌だったとか思う事はいろいろあります。それを自分の仕事にフィードバックできればいいのだけど、何故かそういうことって無視され易いのです。
自分が客だという意識で自分の店(職場)を考えるという事の大事さを痛切に感じました。
この本には、お客様がまた来たくなるお店を創るには?というアイデアがいくつも挙げられてしました。そこに共通するのは、「お客様の居心地の良い場所である」ということです。
自分らしく居られる場所「サードプレイス」を創る
あそこへ行ったらゆったりとした気持ちになれる。あそこのお店の人とおしゃべりするのが楽しい。そういう気持ちになれる場所なら、おのずと人は集まってきます。
店主の技術を教える教室コミュニティを創る
顧客同士が繋がるイベントを開き、地域コミュニティを創る
おいしいお蕎麦屋さんで蕎麦うち教室をやっていたら、一度参加してみたくなります!そして、自分で蕎麦がうてるようになったとしても、プロには到底かないません。やっぱり、お店のお蕎麦は美味しいわぁって、また来てくれるじゃないですか。
お店の中に、お客様が作った手芸や絵、写真などを飾ってくれるコーナーがあったり、生協の白石さんのように「お客様の声コーナー」があったりしたら、それだけでも楽しいでしょうね。それを見たさに用がなくても行っちゃうお店になったら、もう合格点でしょうね。
いかにお客様を楽しませるか?それを考えることこそが、お客様が集まるお店の秘訣なのだと思いました。
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