ブログ内検索


  • ダメでもいいからやれ。
    体験もしないでお前ら、
    すぐに「ダメだ」って言うのは、
    学校で聞いただけの話だろう。
    やってみもせんで何を言っとるか
    (by 本田宗一郎)

読書Love!

  • 本が好き!
  • NetGalleyJP
    プロフェッショナルな読者
    グッドレビュアー 100作品のレビュー 80%

« 映画 「アルバート氏の人生」 | トップページ | 『ずるい考え方』 木村 尚義 »

『不愉快なことには理由がある』 橘 玲

 著者の橘さんは、「あなたの文章を読むと喪黒福造氏の顔が浮かぶ」と評されることを誇りに思ってらっしゃるのだそうです。そういう風に、自分を正しく認識している方ってなかなかいませんよね。

 この世の中に、不愉快なことは実にたくさんあります。天気のように、自分の力ではどうにもできないことなら、諦めることができます。あるいは、その原因を突き詰めて改善できるようなことならば、それはまだマシな方です。

 不愉快だけど、どうにもならないことだらけなのが世の中ってものなのです。

 では、何故そうなってしまうのかを考えてみたことがありますか?「教育が悪い」「政治が悪い」「隣の国が悪い」なんていう風に、原因を自分以外に求めてしまいますが、本当にそれだけなのでしょうか?

 人間には本能というものがあります。自分に危害が加わらないように、自分が死なないようにという無意識の力が、自分を突き動かしています。寒ければ暖かい服を着る、お腹が減れば何かを食べる、会社で上司に怒られたくないので目立たないようにしている、などなど・・・。

 例えば、鰻重に「松竹梅」があったとして、あなたはどれを頼みますか?

 かなりの割合で、「竹」を頼む人が多いのだそうです。それは、中庸が安全であると判断する人が多いからなのです。これは選択肢が3段階ですから、選択がとても簡単です。

 しかし選択肢がもっと多くて、例えば10段階になってしまうと、どうしていいのか分からない人が増えます。そういう場合には「全部入り」である一番上のランクの物をお店の人が薦めると、かなりの確率でそれを選ぶという心理もあります。

 結局、自分で判断しているつもりでも、実は何にも判断していないということが非常に多いのですねぇ。

 世間のみんながそうやって無意識に選択した集大成が、今の社会なんです。それを上手く使って世の中を操作している人がいるのも確かです。

 この本を読むと、更に不愉快になるとお怒りの方もいるでしょうし、そういうものかと諦めの境地になる方もいるでしょう。本来、みんなが同じ方向を向くってこと自体が変なのですから、賛否両論あることこそが、自然なことだとわたしは思います。

 書店で目次だけでも目を通してみてください。きっとひっかかる何かがあるはずです。

1485冊目(今年10冊目)☆☆☆☆

« 映画 「アルバート氏の人生」 | トップページ | 『ずるい考え方』 木村 尚義 »

日本の作家 た行」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『不愉快なことには理由がある』 橘 玲:

» サルに囲まれた世界を生きる不条理:不愉快なことには理由がある [本読みの記録]
不愉快なことには理由がある作者: 橘 玲出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/11/26メディア: 単行本(ソフトカバー) 最新鋭の進化論をベースに日本を取り巻く様々な問題について書かれたエッセイ集。 シニカルな橘節は健在で、あまり愉快な気持ちになれないがグイグイと引きこまれて読みきってしまう。 ... [続きを読む]

« 映画 「アルバート氏の人生」 | トップページ | 『ずるい考え方』 木村 尚義 »