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『移民の宴』 高野秀行

 

 外国から日本にやってきて働いている人が本当に増えました。スーパーで買い物をしている姿も良くみかけます。でも、彼らがどんなものを食べているのかはなかなか知ることができません。

 

 著者の高野さんはそこに非常に興味を持ち、どんな風に作っているのかを台所まで追いかけて取材されています。その様子を読んでみると、それぞれの出身国によって様々な違いはあれど、心のありようは非常に似ていると思うのです。故郷から遠く離れているからこそ、故郷の味が大事であるのだと。

 

 初めて日本に来て、日本の食べ物を食べた時に思うことも、みなさん似ているんですよね。「味が薄い」「素材の味しかしない」「生ものが多い」「量が少ない」。そうなのか!これぞ日本料理の特徴なのでしょうね。

 

 でも、しばらくするうちに、その良さも段々分かってくるのだそうです。更に「日本料理は簡単でいい」のだそうです。魚を焼いたり、煮物を作ったりするするだけだし、みそ汁も具を変えればいいだけだから、とっても簡単で大好き!という感想を持っている人が、何人も登場してきてビックリしました。

 

 特に食物に対する戒律が厳しいイスラム教の方たちは、お寿司が大好きというのにもビックリしました。外で売っているものは、たとえ野菜スープであっても、その中に肉のエキスが入っていたり、アルコールが含まれていたり、摂取してはいけないものが混ざっていることが多いので、とても神経質になるのだそうです。その点、魚なら戒律に引っ掛かるものがないので、心配なく食べられるんですって。

 

 西葛西のインド人とか、錦糸町のタイ人の多さは知っていましたが、何故そんなに多いのかは、この本を読んで初めて分かりました。こういう歴史ってなかなか知る機会がないので、とても興味深く思いました。

 

 ロシア正教の教会と、ニコライ堂の関係にもビックリですね。日本人には分からない歴史がこんなところにもあったのか!という感じです。

 

 そして最後に、高野さんがインドの方に、「インド人は(異文化に対して)寛容ですね」との問いに対する回答がとても印象的でした。

 

「私たちは寛容なわけではありませんが、排他的ではないのです。」

 

 このスタンスこそが素晴らしいと思います。分からないから拒絶するのではなく、違うものとして存在を認めるって、日本人にとって最も学ぶべき点だと思うのです。

 

 いろんな国の人と会って、いろんな国の食べ物を食べるというところから始めれば、そんなに難しいことではないと、わたしは信じたいです。

 

1491冊目(今年16冊目)☆☆☆☆☆

 

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コメント

ご無沙汰です。私もこの本読みました。
どなたかのブログで見て~~なんて書いたけど、ROKOさんでしたね。やっと思い出しました。

ほっそさん☆おひさしぶりです
わたしの文章を読んで気に入っていただけたとは、感激です!
食べ物から異文化を知るって、一番分かりやすい文化交流だと思うんです。だから、こういう本を大勢の方に読んでいただくことで、そういうきっかけができたらいいと思っています。

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