『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』 福岡 伸一
生体を構成している分子は、すべて高速で分解され、食物として摂取した分子と置き換えられる。身体のあらゆる組織や細胞の中身はこうして常に作り変えられ、更新され続けているのである。
わたしたちは植物や動物を食べ、それが身体に摂取され、身体を作り上げているわけですが、食べたものがそのまま取り込まれるわけではありません。一旦分子レベルまでバラバラにしているのです。何故そんなことをしなければならないのか?それは、自分とは違う他者を取り込むからなのです。
植物でも動物でも、その中にはDNAという設計図が含まれています。わたしたち人間にももちろんDNAが存在しています。違う設計図で作られたものをそのまま取り込むことはできないので、いったんバラバラにしているのです。
そのバラバラになったものが、わたしたちの身体のあらゆる部分を作り変えていきます。
ということは、わたしたちの身体は刻一刻と変わっているのです。昨日のわたしと今日のわたしは、分子レベルで考えれば、別の存在なのです。
つまり、わたしたちは決して同じ状態でいることはできません。刻一刻と変わっていくのです。なのに、それに気付かないだけなのです。
なのに、同じでいようとするから無理が生じるのかもしれません。
変わり続けていくこと、それが「生きる」という事なのです。
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