『シーボルトの眼』 ねじめ 正一
日本に対する異常な興味を持っていたシーボルトが選んだ絵師「川原慶賀」。写真がなかった当時、ありのままの姿を絵として残して欲しいという思いを持つシーボルトの為に、彼はとんでもない量の絵を描いたのです。
シーボルト事件で国外退去となったシーボルトですが、その後も慶賀はシーボルトの為に絵を描き続けたのだそうです。植物、動物、風景、人物 ・・・、慶賀が描いた絵のほとんどはシーボルトの手に渡ったのです。
そもそもシーボルト事件の発端は、シーボルトの命令で慶賀が書き写した日本地図でしたからね。慶賀も逮捕されて、かなりひどい目にあったようですが、それでも余りある恩義を感じていたのでしょうか。
アジサイの学名オタクサは、シーボルトの妻「おたきさん」にちなんでつけられた名前なのだという話は、どうも俗説らしいですけど。日本原産のアジサイをヨーロッパに伝えたのがシーボルトであるのは間違いありませんからね。アジサイが咲く季節になると、わたしは毎年シーボルトの事を思い出します。
慶賀さんはシーボルトに出会って画風も変わっただろうし、人生も大きく変わったのでしょうが、きっと幸せな人生だったのだと信じたいです。
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