『談志が死んだ』 立川 談四楼
この本のタイトル「談志が死んだ」は回文(上から読んでも下から読んでも同じ文)です。このタイトルを、師匠に対して失礼じゃないかって怒らないでくださいね。これを思いついたのは談志師匠本人なんですから。
この本の著者「立川談四楼」さんは談志師匠の直弟子で、「立川流」が発足する原因となった方(この人が何したってわけじゃないですけど)だということを、今回初めて知りました。
落語協会が真打の昇格試験で明らかに変なことをやったおかげで、談四楼は真打に昇格できなかったんです。それに対して怒った談志師匠が「こんな理不尽な落語協会なんぞにいられるかい!」って飛び出しちゃったのが、そもそもの発端だったんですねぇ。
ちゃんとした人が昇格できないだけでなく、有名な家の子だっていうだけで、話がうまいわけでもない奴があっさり真打になってしまったなんてこともあって、そりゃやってられませんわ!やっぱりあの根岸のご兄弟は上手くないもんねぇ(・_・;)
談志師匠は噺家としては確かに天才で、落語に対する情熱はとてつもなくあって、根はいい人だったんですけどねぇ。理不尽大魔王であったのも確かです。そこに弟子入りした人たちは、師匠を通して諸行無常をさぞかし感じていたのでしょうね。
晩年は病気もあって、精神的にもかなりギリギリの状態だった様子も、この本には描かれています。師匠のことを愛しているがゆえに、辛い目にも会ってしまう弟子の悲哀、まるで人情噺のようでした。
とんでもない人だったけど、大勢の人から愛された師匠とのお別れの会の話も、グッときちゃいました。特に、石原慎太郎の弔辞は見事としか言いようがないですね。
談志師匠、あの世へ行っても落語やってるんだろうなぁ!
1528冊目(今年53冊目)☆☆☆☆☆☆
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談志さん、好きですよ。
http://ibg-kodomo.blogspot.jp/2013/03/blog-post_17.html
投稿: 三鷹の隠居 | 2013年8月15日 (木) 06:10
三鷹の隠居さん☆ご無沙汰しております。
近くにいたお弟子さんたちは、さぞかし大変だったと思うけど、そういう部分も含めて談志師匠は凄い人だったのだと思います。
晩年、声を失った師匠は何を考えていたのでしょうね。
それを思うと、切なくなってしまいます。
投稿: Roko(三鷹の隠居さんへ) | 2013年8月15日 (木) 11:59