『キアズマ』 近藤 史恵
久しぶりに近藤さんの自転車ロードレースものです。
ひょんなことから大学の自転車部に1年の約束で入部した主人公。彼はこれまで柔道しかやったことがなかったのに、入部して初めて、自分には自転車ロードレースでの才能があることに気付いたのです。
何年も頑張ってきた先輩たちをアッサリ抜き去ってしまう後輩。世の中って、そんな甘いもんじゃないって言う人もいるけど、ただ努力しただけじゃどうにもならない才能ってのは、確かに存在します。
とはいっても、才能だけじゃ天下はとれない。才能+αがあってこそなんですよね。
レースに出るだけで楽しかった状況から、勝ちたいという欲が出るレベルになったところで、彼は悩みます。自分の才能について。自分の心に引っかかっている、あることについて。悩みながら走り続けます。
人生って、自分の思うようにはいかないものだけど、分からないなりに進む方向は決めなければいけないという所が難しいですね。
誰かに引っ張ってもらうのでもなく、流れに流されてしまうのでもなく、自分の意志で前進するってことの難しさと大事さを、考えさせられる本でした。
1542冊目(今年67冊目)☆☆☆☆☆
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» 今度は大学の自転車ロードレース 「キアズマ」 近藤史恵 [日々の書付]
自転車ロードレースの世界を描いた名作「サクリファイス」シリーズ。近藤史恵さんの描く自転車ロードレースの世界は、競技そのものを知らなくても楽しめます。
「サクリファイス」ではプロの自転車ロードレースの世界観をミステリとして描き、「エデン」では自転車レースの巧妙な駆け引きの様子が描かれましたが、今回の「キアズマ」は、自転車ロードレースと、若者たちのスポーツへの情熱と挫折がモチーフとなっています。
【物語】
大学に入学したばかりの正樹は自転車部とのちょっとしたいさかいから、自転車部の部長... [続きを読む]
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