『空耳の科学』 柏野 牧夫
小さい音を聞くのと、音の違いを聞くのは別の能力
人間の耳は実に上手くできているというべきなのか?実にあやふやにできているというべきなのか?実際の音をそのまま聞いているわけではないようなのです。大勢の人が話している中で、自分が話している相手の声だけをちゃんと聴くことができたり。静かなところよりも雑音が多いところの方が正確に聞き取ることができたりするのです。
小さな音が聞こえるかどうか?という能力と、音質の差を聞き分けるという能力は別のものというのも面白いですね。絶対音感と相対音感、どちらが優れているというわけでもないし。耳の働きは実に興味深いのです。
アスペルガー症候群の人の聞こえ方
これもまた不思議な世界なのですが、アスペルガーの人には聴覚に関する問題が沢山あるのだそうです。その中の一つが、小さな音が気になってしょうがない聴覚過敏です。その音が気になってしまって、他の事ができなくなってしまう事があるほどだというのです。
そして、さらに興味深い症状があります。聴力自体に問題があるわけではないのに、人の声を聞いてもそれが誰だか分からない。歌に込められた感情が分からない。でも、音質が分からないわけではなく、電車の音だったら区別できたりする。
同じように人の話を聞いていても、それが耳に入らなかったり、意味が分からなかったり、音楽をただの音としか聞いていなかったりする人がいる理由が、この辺にあるのかもしれません。
これを広義に考えれば、リズム音痴も、聴覚による学習障害も、脳の問題であるということになります。う~ん、これは深い話になるなぁ。
わたしが聞いている音を、他の人も同じように聞いているワケではないということを、考えつつ暮らして行かないとね。
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