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『「やりがいのある仕事」という幻想』 森博嗣

「やりがいのある仕事」という幻想

森博嗣(もり ひろし)

朝日新書

 生きていくというのは、面倒臭い事の連続です。朝眠いのに起きなければならないという所から始まって、学生なら勉強しなくちゃいけないし、大人なら働かなければなりません。そういう面倒臭い事を「ほら、こうやると楽しいでしょ!」と、今時の子供たちは教わり、育ってきました。

 

 それって本当にいいことなんでしょうかねぇ?それは「楽しさ捏造」なんじゃないですか?と森さんは疑問を投げかけています。

 

 「いい学校へ行って、いい就職をすれば、楽しい人生が約束されます。」なんてことを信じて大人になり、いざ就職活動を始めてみれば大変なことの連続です。上手く就職できたとしても、そこで自分が夢に描いてきたのは単なる幻想だったと思ってしまったら、それはやりきれないですね。

 

(本当に楽しい人は)そもそも、自分からはそんなに話をしたがらない。そうでない人と言うのは、子供の写真を見せたり、仕事の話をしたり、買おうとしているマンションとか、旅行に行った時の話とか、そういうことを自分から言いたがる。(本文より)

 

 自分はあなたより、こんなに幸せなのだと言いたい気持ち、自分はこんなに頑張っているのだと言いたい気持ち、そればかりが目立つという事は、本当は自分が余り幸せではない証なのかもしれません。

 

 森さんの視点はシニカルだけど、とても的確な気がします。自分が幸せだということを実感していれば、それを他人に語る必要がないですものね。

 

 仕事に関しても、自分自身の事に関しても、幻想を追いかけているだけでは辛くなるばかりです。現実をいかに楽しくしていくかを考えることから、逃げてはいけないと思うのです。

 

1574冊目(今年17冊目)☆☆☆☆☆

 

 

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