『無印良品の「あれ」は決して安くないのに なぜ飛ぶように売れるのか?』 江上 隆夫
このところ、値段を下げれば売れるのだという風潮があります。牛丼チェーンの値下げ競争や、増え続ける100円ショップなど、値段を売り物にしての商売が目立ちますが、わたしは疑問に思っていました。
値段を中心に考えてしまうと、商品の機能については考えますけど、デザインなどについてはおざなりになりがちです。ずっと使いたいものにはなり得ないですねぇ。値段だけでは商売は成り立たないという気がするのです。
安いものとの対局には、高級ブランドなどの高付加価値商品というものがあります。そのデザインや品質に満足が得られるから、値段が高くても買うに値するという判断がなされるわけです。高いだけのことはあるという満足度が魅力です。
無印良品の商品は、確かに安くはありません。といって高いわけでもありません。つまり値段が魅力の低価格商品でもなければ、満足度重視の高額商品でもない訳です。
では、どこが無印良品の魅力なのでしょうか?著者は、コンセプトがその秘密なのだと言っています。
無印良品のコンセプトは
「生活者が本当に必要とするものを、ムダのない必要な機能をカタチづくり提供する」
ある程度の品質、センスの商品を、納得できる範囲の価格で提供する。それこそが長続きする秘訣なのでしょうね。値段を売り物にしていないからこそ、無理のない企画、販売ができます。そして、ブランド物のように特定の層にターゲットを絞っていない分、ある程度まとまった量を作ることができます。
ある程度の量を作り、それをほどほどの価格で提供するという事こそが、無印良品のヒミツなのですね。そして、それを実行するために作られた「コンセプト」というものの大事さを強く感じました。
このコンセプトというもの、それは「わたし(わたしたち)は、こういうことをします!」という「宣言」であるわけです。これを決めるためには強い意志が必要です。そして、それを継続するには流されることがないようにする努力が必要です。
この本では会社のコンセプトというものが語られていますが、その根底にあるのは揺るぎない個人としてのコンセプトがあるということも忘れてはいけないと思うのです。
R+(Reviewplus) さんからこの本を提供していただきました、ありがとうございます。
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