『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』 大阪大学ショセキカプロジェクト
穴からのぞく大学講義
大阪大学出版会
穴があるからこそドーナツなのです。けれど、ドーナツの穴だけを食べることもできないし、穴だけを残して食べることもできません。と言ってしまえばおしまいですが、それを真面目に考えている人たちがいます。そんな人たちの考えをまとめたのがこの本です。
新しい何かをやろうとするとき、「そんなの無理だよ!」という声がいろいろなところから聞こえてきます。周りから言われることもあれば、自分自身の中からその言葉が湧いてくるときもあります。
無理な理由はいくつでも考えられるけど、そんなものは何の役にも立ちません。それよりも、屁理屈でもいいからできる方法を1つ考え出すことこそが大事なはずです。
「でも、無理だからさぁ!」 そこで動きを止めてしまう脳細胞を、どう動かしたらいいのでしょう?
この本の中で、ドーナツの穴について様々なアプローチが行われています。どれもある意味「だからどうした?」なんですけど(笑)、一生懸命に悩んでいるところが素敵なのだと思います。
この本の中でわたしが一番気に入ったのは「ドーナツ化現象と経済学」です。タイトルからも分かるように、ドーナツの穴を残すことには一切言及していませんが、こういう考察をできたキッカケとなったという意味で、ドーナツの穴は存在価値があったのだと思います。
そう、存在価値というものが残ったことによって「ドーナツを穴だけ残して食べることができた」と考えていいのではないでしょうか?(かなり強引かな)
様々な学術的考察の間に、コラムのように挟み込まれた世界各国のドーナツの話がなかなか面白くて、これだけを写真入りにして別の本を作ってもらえたらなぁなんて思ったのでした。
1579冊目(今年22冊目)☆☆☆☆
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