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『首折り男のための協奏曲』 伊坂幸太郎


首折り男のための協奏曲

 


 

伊坂 幸太郎
新潮社

 

 

 

 この本、短篇集というスタイルではありますが、やっぱり伊坂さんですから繋がってるんですよ。最初の話に登場したあのご夫婦が別の話に登場したり、あの本に登場したあの人が登場したりというリンクが沢山あって、伊坂ファンにはたまらない作りになっています。

・首折り男の周辺
 最近話題になっている連続殺人犯の特徴をTVで見ていた絵美さんは、隣のアパートに住んでいる男性が犯人ではないかと疑いを持っています。それを夫の順一さんに話しても、まるで取り合ってもらえないのです。

・濡れ衣の話
 直樹さんは、ある女に恨みを持っていました。できることならその女を殺したいと、その機会を狙っていました。

・僕の舟
 黒澤さんは、ある女性から人を探して欲しいという依頼を受けました。60年前に出会った男性がどうしているのかを、とても知りたくなったのだというのです。

・人間らしく
 また、黒澤さんに調査依頼が来ました。依頼主の女性の義理の弟の浮気の調査をして欲しいのだそうです。

・月曜日から逃げろ
 またまた、黒澤さんにお仕事の依頼がありました。でも、今度の依頼人はちょいと嫌な奴です。この仕事を断ると、黒澤さんの裏の仕事のことを警察にしゃべっちゃうよなんて言うんです。

・相談役の話
 伊達政宗は山家清兵衛さんに重要な仕事を任せました。彼はその仕事を実直に行ったばかりに恨みを買い、暗殺されたのでした。

・合コンの話
 井上さんは合コンをするには、男3人女3人で行うのが最も合理的であるという考えを持っています。今回もその人数で合コンを企画したのです。ところが合コン当日に、自分は出席できないので替わりの男を用意したから、ヨロシクねという連絡が入りました。

 どの話も面白いんですが、わたしは「僕の舟」が一番好きです。まるで「君の名は」のように出会った男性にもう一度会ってみたいという気持ちはとっても良く分かりますもの。とはいえ、オチの付け方がいかにも伊坂さんだなぁって思いました。

 「月曜日から逃げろ」の構成も面白いですね。いつも伊坂さんには、こうやって騙されちゃうんだよなぁってニヤニヤしちゃいました。

 とにかくリンクが多くて、伊坂さんの全作品を読み直したくなっちゃいましたよ!

1575冊目(今年18冊目)☆☆☆☆☆☆

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