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『驚く力』 名越 康文

 景気が良くなったといわれても、それに伴って収入が伸びるわけではないし、そもそも収入が少ないのだし、守りに入ってしまっている人が多い今日この頃です。

 そういう人たちは口を揃えて「安定が一番」というけれど、その程度のレベルで安定しちゃっていいの?と、わたしは思うのです。

 世界は本来、驚きに満ちている(本文より)

 家の近所を散歩しただけでも、驚くようなことは沢山あります。あんなに寒い日が続いていたのに、桜はちゃんと花を咲かせます。そして、ピンクの花が散るころには、緑の若葉が顔を出してきます。たったこれだけのことでも、自然はスゴイなぁという驚きを感じられます。

 そんなことにも気付かないのは何故なんでしょう?

 安定することばかり考えて、決まりきった生活ばかりしていると、驚くことを忘れてしまうのかもしれません。あるいは、驚き方を忘れてしまうのかもしれません。あらゆるものにラベルを付けて、分類するだけでは感動は生まれません。

 世間話をしていても、無難な話しかしてないんじゃないですか?

 無意識に話を展開させないようにしていたり、できるだけ手短にしようとしていたり、自由に話をしていないんじゃないかしら?

 そんな毎日が驚く力を萎えさせているのじゃないかしら?

1582冊目(今年25冊目)☆☆☆☆☆

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