『知らないこと、できないことに価値がある』 晝馬 輝夫
この世のほとんどの事は知らないことばかりです。なのに、知らないことを恥ずかしいと思う人が多いのは何故なのでしょうか?
今まで自分が知らなかったことだからこそ興味を持てるのだし、これまでできなかったからこそ、どうやったらできるのかを考えることが可能になるのにね。
知っていることをただ繰り返しているだけの人生なんて、何の進歩もないじゃないですか。
誰でもできることを自分もやっているだけだったら、自分の存在価値ってどこに見出したらいいのかしら?なんて思います。
そして、巻末に書かれていた「暗黙知」と「形式知」の違いがとても気になりました。
「形式知」とは、「定められた既成の方式に従って表現できる知識」です。たとえばマニュアルとか、仕様書とは、そういうものですよね。誰にでも分かるようにまとめられた知識だから、大抵の人はその知識を身に着けることができます。
それに対して「暗黙知」は、それを身に着けた人にとっては容易いことなのだけど、それを誰かに教えるとなると、どうにも表現できないものです。これを身に着けるためには長い時間がかかったり、特別なセンスが必要であったりするのです。
何かを一目見ただけでピンとくるとか、見た目ではなく手触りで感じるとか、微妙な色合いの違いが分かるとか、「暗黙知」こそが、その人独特の能力なのだと思います。
西洋文化に追い付け追い越せの時代は、「形式知」で知識を詰め込むことが大事でしたが、今の時代は「暗黙知」こそが生命線なのだという著者の言葉が、心に残りました。
この本は 書評サイト 「本が好き!」 より提供して頂きました。どうもありがとうございました。
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