『全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書』 森田 直行
アメーバ経営の最大の特徴は会社組織を「アメーバ」と呼ばれる小集団組織に分け、各アメーバのリーダーがまるで経営者のように小集団の経営を行うことです。(本文より)
稲森和夫さんはアメーバ経営を駆使してJALを再建しました。その手法がこの本の中で説明されているのですが、その一つ一つは決して特別なことをしたわけではなかったという事が良く分かります。
その一例を挙げてみると、JAL は飛行機を運航して、お客様に乗って頂いてナンボなわけですが、ある特定の便の収支は?という質問に対して、最初は答えが出せなかったのです。つまり、全体としての収支は分かるけれど、個別の収支は考えてみたことがなかったという事なのです。
製造業などから見れば、商品の個別の原価が分からないなど到底考えられない話なのですが、それまでのJALは、そういうことを考えなければいけないという事に気が付いていない会社だったのです。
仮に350人定員の旅客機を使用する便があったとします。ところが予約は100人しか入らなかったとします。もし、より小さな旅客機に変更することができたら、その分の経費が小さくなります。
逆に予約が多く集まってしまった場合には、臨時便を出すこともできます。
こういう小さな積み重ねが、より高い利益率とお客様の利便性という、より良い状況を生みだす事ができるのです。
そうするためには、トップの経営者だけが考えていたのではダメなのです。会社のすべての人が、どうすればより良い仕事ができるのか、より稼げる仕事をできるのかを考えなければなりません。
- 会社のすべての人が会社の目指す方向性を理解し、自分にできるベストの仕事をすること。(目指す方向を間違えていたら意味がない)
- 出てきたアイデアに対して常に「それをやるにはどうすればいいのか?」という姿勢で考えていくこと。(出来ない理由を考える必要はない)
- コミュニケーションを密に取ること。(話し合いの中からアイデアが生まれる)
言われてみれば当たり前のことですが、こういう基本的なことができなくなってしまっている会社、人はとても多いと思います。
硬直化した体質、思考を見直すために必要なのは、こういったシンプルな考え方を実行すること。それに尽きるのです。
R+(Reviewplus) さんからこの本を提供していただきました、ありがとうございます。
1608冊目(今年51冊目)☆☆☆☆☆
« 『蒸発』 デイヴィッド・イーリイ | トップページ | 映画 「グランド・ブダペスト・ホテル」 »
「伝記・日記・ノンフィクション」カテゴリの記事
- 『84歳の母さんがぼくに教えてくれた大事なこと』 辻仁成(2021.04.13)
- 『走れ!移動図書館』 鎌倉幸子(2021.03.01)
- 『色のない島へ 脳神経科医のミクロネシア探訪記』オリバー・サックス(2021.02.18)
- 『アルジャーノン、チャーリイ、そして私』 ダニエル・キイス(2021.02.15)
- 『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』 辻仁成(2021.02.11)
「日本の作家 ま行」カテゴリの記事
- 『字のないはがき』 向田邦子 角田光代 西加奈子(2021.04.12)
- 『コンビニ人間』 村田紗耶香(2021.04.11)
- 『手ぶらで生きる。』 ミニマリストしぶ(2021.04.10)
- 『今日の人生 1』 益田ミリ(2021.04.09)
- 『同行二人(うさぎとマツコの往復書簡4)』 中村うさぎ マツコ・デラックス(2021.04.07)
「Review Plus」カテゴリの記事
- 『血流がすべて整う食べ方』 堀江 昭佳(2018.01.24)
- 『一瞬で心をつかむ文章術』 石田章洋(2016.06.28)
- 『血流がすべて解決する』 堀江昭佳(2016.05.17)
- 『子どもと食べたい時短おやつ』 菅野 のな(2015.12.27)
- 『長く健康でいたければ、「背伸び」をしなさい』 仲野孝明(2015.11.10)
コメント