『女のいない男たち』 村上 春樹
長編続きだった村上さん、久し振りの短篇集です。6篇の短編が収められており、それぞれのストーリーは独立していますが、共通しているのは孤独な男性が主人公という点です。
この本を読みながら、サイモン&ガーファンクルで「恋人と別れる50の方法」という曲のことを思い出しました。彼女に愛想を尽かされる方法はいくらでもあるのです。それが意図したものなのか、自然とそうなってしまうのかは別として、男ってどうしてこうなのかしらんと思います。
相手の何かに惹かれて付き合うようになって、最初は誰でも幸せな日々がずぅっと続くと思っているのだけど、ある日突然2人の関係にヒビが入ってしまいます。それを上手く乗り越えられれば、以前よりも強いつながりができます。
でも、ヒビができることを怖がってしまっていては、永久にそれ以上にはなれないのです。怖がっているだけでは前進ができないということに一生気付けない人は、確かにいるのです。そんな人と付き合っていた女たちは、いつの間にか去って行ってしまうのです。
●ドライブ・マイ・カー
家福さんは専属の運転手を探していました。いつもお世話になっている修理屋さんが紹介してくれたのは、若い女性でした。
●イエスタデイ
友人の木樽には中学生の時から付き合っている彼女がいました。彼は突然に言い出したのです。「なあ、谷村、そしたらおれの彼女とつきおうてみる気はないか?」
●独立器官
渡海は52歳独身。これまで結婚したことはない。でも、付き合っている女性は常にいる。女性は好きだが、結婚をするのはわずらわしいと思っているのだ。
●シェラザード
羽原の部屋に、彼女は週に2度やって来る。ベッドを共にした後、必ず不思議な話をしていく。
●木野
木野は17年勤めた会社を辞め、路地の奥に小さな店を開いた。
●女のいない男たち
夜中に電話がかかってきた。昔付き合っていた女性が亡くなったという知らせだった。
誰かを好きになって付き合ってみたけれど、それが上手くいかなかったりもするけれど、この本の中の人たちみたいに、大人ぶってあっさりあきらめちゃだめだよね。カッコ悪くてもがんばってみる人が、わたしは好きだな!
1610冊目(今年53冊目)☆☆☆☆☆
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