『小太郎の左腕』 和田竜
この本を読もうと思ったのは、和田さんのデビュー作「のぼうの城」が面白かったからというのもありますが、オノナツメさんが描いた表紙がいいよなぁっていう「ジャケ買い」的要素もありました。小太郎という謎の少年のイメージが、これでバッチリできました。
戦国時代、種子島(火縄銃)の威力がまだ、たいして評価されていなかった頃のことです。合戦の時には、それぞれ名乗り合ってから戦うという、武士が武士らしく生きられた時代でした。武勇を上げることに命を懸けていた主人公は、小太郎という不思議な少年に出会ったのです。
和田さんの芸風を「時代劇のマカロニウェスタン」と呼ぶ人がいるのだそうですが、言い得て妙ですね。本格派時代劇ではないんだけど、とにかく面白くて読みやすいのです。映画やコミックスにするためのイメージが湧きやすいんです。
戦国時代というと、男らしさだけで生きられる時代だったという認識を持ちやすいですが、それだけではなさそうですね。
この物語にも登場しましたが、頭の悪い殿の判断ミスで無駄死にしてしまう人たちってさぞかし多かったのでしょうね。
今の時代は命まではとられないにしても、バカな上司の為に苦労したり仕事を無くしたりしてしまう部下って多いですもの。
能力のある上司は、いつの時代も求められるものだと強く感じました。
1612冊目(今年55冊目)☆☆☆☆
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» 「小太郎の左腕」 和田 竜 [日々の書付]
戦国時代、神の手を持つ鉄砲の名手を巡る戦いを描いた和田竜さんの「小太郎の左腕」。なんというか、悲しい物語です。
小太郎の左腕
敵対する児玉家との戦で傷ついた戸沢家の猛将・林半右衛門。半右衛門と家臣三十郎は、風変わりな漁師(地鉄砲)の爺と少年・小太郎に助けられる。半右衛門は命を助けてくれた褒美を問うと、小太郎は城下で行われる鉄砲の大会に出たいという。
半右衛門は望み通り、鉄砲大会に出場させるも、最初は的にあてることも出来ない小太郎だったが、半右衛門は小太郎の特徴に気付き、特別仕様の鉄... [続きを読む]
「のぼうの城」や「村上海賊の娘」などの痛快さよりも、戦に巻き込まれる人間の悲劇と、小太郎半右衛門の成長と変化が描かれていたように思います。
和田さんの作品は、歴史のすきまの中に違和感なく話を作れるところが魅力だと思います。結構歴史考証についてすごく資料を読まれていて、フィールドワークなどもおこなっているそうです。エッセイ集「戦国時代よだんの余談」もおすすめです。(*´∀`*)
投稿: 日月 | 2014年7月14日 (月) 00:26
日月さん☆おはようございます
敵味方関係なく、正々堂々と戦う事を良しとした戦国時代の男たちの潔さがいいなぁって思いました。
それに引き換え、頭の悪いおぼっちゃまの使えない事(汗)
この点は今の日本そのものっていう感じですね。
普段は時代物を読まないわたしですが、しっかり楽しませていただきました。
投稿: Roko(日月さんへ) | 2014年7月15日 (火) 09:43