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『想像ラジオ』 いとう せいこう

想像ラジオ
想像ラジオ
posted with amazlet at 14.07.22
いとう せいこう
河出書房新社

 DJアークがお送りするラジオ番組には、ラジオという機械は必要ないのです。じゃぁ、どうやって聞くのかって?この番組は聞こえる人には聞こえるし、聞こえない人には聞こえない番組なのです。

 そんな番組をDJアークは高い木の上からお送りしております。聞いていただいた感想を頂ければ嬉しいです。あなたの所はどうなっているのか現地レポートもお待ちしております。

 想ー 像ー ラジオー。

 この本の第一章を読み始めたときには、何だか良く分からなかったけれど、読み進むにつれて不思議な世界へと誘われていきます。

 あの日、津波がさらっていってしまいました。家も、町も、人も、跡形もなく。でも、さらっていけないものもありました。わたしの、あなたの、誰かの思いは今も残っているのです。それを見つけることができるのは、それを聞こうとするかどうかという気持ち次第。

 賛否両論のこの作品ですが、わたしは、とてもこの作品が好きです。いとうさんの思いが、わたしの胸に迫ってきました。DJアークがかける曲の選曲も良くて、悲しい物語なのに、時々ニヤっとしながら読んでいました。

 ボブ・マーリーのリデンプション・ソングは、この物語の最後にぴったりの選曲ですね。あの震災を風化させてはいけないという思いを新たにしました。

「広島の原爆投下の時も、長崎の時も、他の数多くの災害の折も、僕らは死者と手を携えて前に進んできたんじゃないだろうか?しかし、いつからかこの国は死者を抱きしめていることが出来なくなった。それはなぜか?」
「なぜか?」
「声を聴かなくなったんだと思う。」(本文より)

1619冊目(今年62冊目)☆☆☆☆☆

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