『リオとタケル』 中村 安希
すべては、自分の欲求に忠実に生きるために(本文より)
リオとタケルは仕事においても、私生活においてもベストなパートナーです。いつもお互いの事を思い、心から愛し合い、これからもずっと一緒に生きていくことを望んでいます。
これが男女のペアだったら何の問題もないですが、リオとタケルが男性のペアであるというだけで、難しい問題が生じてくるのです。
幸い、2人の家族は彼らの在り方を認めてくれています。家族ぐるみの付き合いもできているというのは、彼らにとって本当に幸せなことだと思います。友人も、仕事を一緒にしている人たちも彼らを肯定的に認識してくれています。
セクシャルマイノリティの人の中にはいい人も悪い人もいます。ヘテロセクシャルの人の中にもいい人と悪い人がいます。ゲイという言葉を聞いただけで嫌悪感を持つ人が多いのは悲しい事です。
その人がどんなセクシャリティを持っているのかが問題なのではなくて、その人がどんな人であるのかこそが大切なことであるはずなのに、どうしてセクシャリティばかりが目立ってしまうのでしょうか?
それは無知が招く偏見なのだと思います。
最初、この物語はフィクションなのかと思っていたのですが、実はノンフィクションだったのです。この2人に関して、友人や家族、そして当人たちへインタビューしたものをまとめているのですが、こんなにも素晴らしいカップルが世の中にはいるんだなぁと惚れ惚れしてしまいました。
彼らはきっと辛い目にもあってきたのでしょうが、そんなことは些細なことだよと思っているようです。何よりも大事なのは2人で一緒にいることなのだと言っています。
2013年6月26日に 米連邦最高裁は同性婚を禁じたカリフォルニア州の法律が違憲だとする連邦第9巡回控区訴裁判所の判決を支持する判断を下した。先の決定に伴い、米サンフランシスコの連邦高裁は28日、住民投票に基づいてカリフォルニア州内での同性婚を禁止した州法の規定を無効とすることを決めた。これにより同性婚賛成派勝訴の判決が確定、即日同性婚の受付が再開された。
これを受けて、リオとタケルは結婚されました。法律的にも晴れて家族となったお2人がいつまでも幸せに暮らしていけることをお祈りしています。
日本で、この法律ができる日は来るのでしょうか?夫婦別姓すら未だにできない状態ですからねぇ。ほんとに日本って後進国だなぁって思います。
同性婚に対する根強い反発があるのは何故なんでしょうね?愛し合っていなくても婚姻が成立するのに、愛がある同性には許されないなんて!結婚というスタイ ルでなくても構わないけど、法律的に家族として認められる方法がないばかりに辛い思いをしている人が沢山いるという事実があることを多くの人に分かって欲しいのです。
1631冊目(今年74冊目)☆☆☆☆☆☆
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