『フード左翼とフード右翼』
朝日新聞出版 (2013-12-13)
フード左翼とは産業社会において大量生産の工場のように生み出される「食」の在り方に反対する立場の人々のことだ。例えば、「フード左翼」は有機農法で作られた農作物を入手し、健康や安全性や食と通じたコミュニケーションを大事にする。(本文より)
つまり、この本の中でフード左翼と定義しているのは、どうやって作られているのか正体不明な大量生産された食物ではなく、作り手の顔が見える、あるいは自分で作った食物を中心に食を作っていきたいと考えている人たちなのです。
それに対してフード右翼とは、世の中に流通している食品の組成には何の疑問も持たず、あえて気にしているのは価格だけという人たちです。自分の口に入るものに、どんな農薬を使っているのか?どんな添加物が入っているのか?なんてことには興味を持っていない、普通の消費者です。
現在、フード左翼の食を支えているのは個人や小さな団体です。大手企業がそこに進出しようとはしていますが、どこまで細かい対応をできるのかには疑問があります。何故なら、大量生産・大量消費という思考では無理なことだらけだからです。
今後、自分の手で安心できる食べ物を確保しようとする勢力は伸びていくことでしょう。とはいっても、それをずっと続けて行けるかどうかに関しては、不安要素があります。
自分で料理を作れる間は良いのですが、問題は老後です。現在の老人用の食事は大量生産のラインで考えられていることが多いのです。コストが重視されること、本人ではなく家族が決定権を持っていることからいっても、生涯フード左翼を貫くにはそれなりの努力が必要になります。
近い将来、そこの部分を埋めていくビジネスが広がっていくのは間違いなさそうです。
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