『里山資本主義』 藻谷 浩介 NHK広島取材班
日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
角川書店
(晴耕雨読でいいではないかと言うと)「そんなのは無理だ、今の近代的な生活を送るには、お金が絶対必要だ」と反論が返ってくる。確かに100%は無理かもしれない。しかし今支払っているものすべて買わないといけないのだろうか。本当にその方が合理的で効率的なのかと問いたいのだ。(本文より)
この本で著者が言いたいことは、あらゆる意味での既成概念を捨てようということだと思います。「自分がやりたいことをする為には都会へ行かなければならない」、「お金がないと何もできない」、「田舎には何もない」なんてことを、あなたも闇雲に信じていませんか?
都会でバリバリ働くのはいいけれど、働き過ぎて、それ以外のことが出来なくなっていませんか?忙しさにかまけて、本来なら自分でできる料理や洗濯などをお金で解決(外食やクリーニングなど)していたり、自分の為の時間を無くしていたり、それこそ睡眠時間まで削って生きていて、それでいいのでしょうか。
そうなってしまう原因の一つは、都会にしか自分の生きる場所はないという思い込みです。田舎では今の仕事は続けられないからって思うから、都会にしがみついている人が多いのですが、そこで考え方を切り替えることが大事なのだと著者は力説しています。
「田舎だからこそできること」「田舎でないとできないこと」をやればいいのです。
最近、ウィークデイは都会暮らしをしていて、週末だけ田舎で過ごす人が増えています。ということは、田舎だからこその仕事があるということなのです。そして、田舎だからこそ有利なことが沢山あるのだということに気付ければ、都会で仕事をすることに固執しなくてもいいのです。
家を借りるにしても、食費や光熱費だって、ずっと少なくて済む環境が田舎にはあるのです。全部ではないにせよ自給自足の生活ができたら、お金に縛られずに生活することができるということこそが、田舎(里山)生活の魅力なのです。
資本主義に染まりきってしまった人の中には、自分の存在価値は稼いだ金銭の額で決まると思い込んでいる人がいる。
生きていくのにお金は大事です。でも、お金を沢山持っていることだけが幸せという考え方はとても危険です。お金を稼いで、お金を使うことだけしか考えていないから、お金に縛られてしまうのです。そして、今やっている仕事が無くなったらどうしようという不安に駆られ、無理して働いてしまうのです。
無理した結果、ストレスで体調を崩したり、鬱になったり、過労死したりしてしまうのです。それが人間らしい生き方なのでしょうか?
人間らしく、自分らしく生きるためにはどうしたらいいのか?その答えの一つがここにあると思うのです。
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