『知の逆転』
NHK出版
この本は、ジャレド・ダイアモンド(「銃・病原菌・鉄」などの著者)、 ノーム・チョムスキー(言語学者)、オリバー・サックス(脳神経科医で「レナードの朝」などの著者)、 マービン・ミンスキー(人工知能を専門とするMIT教授)、トム・レイトン(MIT教授でアカマイ・テクノロジー社設立者)、 ジェームズ・ワトソン(DNA2重らせん発見のノーベル賞受賞者)。この6人の知性へのインタビューを集めたものです。
それぞれに素晴らしい内容なのですが、その中でもワトソン氏のこの言葉にウーンとうなってしまいました。
たとえば、あなたは今5万ドルの蓄えがあるとして、それを子供たちに残すのか、それとも自分の命をあと6か月病院で伸ばすために使うのか。わたしだったら6か月余分に生きるより、子供たちに残す方がいいと思う。(ジェームズ・ワトソン)
自分自身のこととして考える時、これは1つの回答だなと思えるのです。ある程度の年齢になってから、無理やり延命することには意味がないなぁ、それよりも、未来を生きる人に託すことの方が大事だと思うのです。
医学の進歩で、とにかく死なないようにする為に様々な方法を取ることが出来るようになりました。でも、それが本当に正しい事なのか?と考えると、どうも良く分からないのです。
最近よく考えるのは、「ただ生きているだけでいいのか?」ということです。何かしらやりたいことがあって、それに向かって生きているからこそ「自分は生きているのだ」と、わたしは考えています。やりたいこともないのに、ただ生きているだけなんて、わたしは絶対にイヤなんです!
何をするにも知識や理性よりも情熱が大切である(ジェームズ・ワトソン)
わたしは、「情熱」とは、愛であり、信じることであると思うのです。愛があるからこそ続けていける。信じているからこそ諦めない。情熱がないのに何かをするなんて、それは無理だと思うのです。それでも無理やり頑張ろうとするから、苦しくなってしまうのです。
自分はそれをやらなければならないと分かってはいるけど、どうにも続けられないということが良くあります。そうなってしまうのは、その目標に対して情熱を見出せないからなのでしょうね。難しい課題であっても、その中に何か一つ好きな部分を見出せたら、続けていくことができるはずです。
他人から見て「そんなこと良く続けられるね」と思われるようなことでも、自分にとって楽しいことであれば、幾らでも続けられます。というか、やめるのがイヤですよね(笑)
好きなことを仕事にしたら辛くなるから嫌だという人がいますが、ホントにそうなんでしょうか?好きなことを突き進めるためには、嫌なこともしなければなりません。それを片づけるのが嫌だから逃げているだけなのではないでしょうか?
逆にいえば、好きでもないことを仕事にして耐えられるのですか?最初は好きでなかったとしても、少しずつ楽しさを見つけ出せればいいのですが、そうでなかったら結局は嫌になってやめてしまうのではないでしょうか。
こんなことを考えさせてくれたこの本に感謝です。
1643冊目(今年86冊目)☆☆☆☆☆
« 『「ひらめき」を生む技術』 伊藤 穰一 | トップページ | 『免疫力をあなどるな!』 矢崎 雄一郎 »
「新書」カテゴリの記事
- 『文系のための数学教室『 小島寛之 24-281-3307(2024.10.02)
- 『補欠廃止論』 セルジオ越後 24-242-3268(2024.08.24)
- 『働かないニッポン』 河合薫 08/15 232 3258(2024.08.15)
- 『ビートルズ』 北中正和 24-224-3250(2024.08.07)
- 『中流危機』 NHKスペシャル取材班 24-208-3234(2024.07.22)
「海外 その他」カテゴリの記事
- 『パトリックと本を読む』 ミシェル・クオ 24-267-3293(2024.09.18)
- 『終戦日記一九四五』 エーリヒ・ケストナー 24-285-3311(2024.10.06)
- 『アダムスファミリー全集』 チャールズ・アダムス 24-248-3274(2024.08.30)
- 『マンガで読む地政学』 パスカル・ボニファス、トミー 24-255-3281(2024.09.06)
- 『仕事帰りの心』 イ・ダヘ 24-209-3235(2024.07.23)
コメント