映画 「ストックホルムでワルツを」
ふだん映画の情報を知るのは、webや映画館からが多いのですが、この映画は違っていました。
御茶ノ水のディスクユニオンのジャズ館でポスターを見たのがきっかけでした。(普段ジャズのお店には行かないのに、なぜお店に入ってみたのか不思議です)
主人公はモニカ・ゼタールンド。田舎町で電話交換手として働きながら、週末はストックホルムのクラブで歌っていました。
娘を連れて実家に出戻っていた彼女は、ここから飛び出して、ジャズ歌手として成功することが夢でした。
モニカが初めて行ったニューヨークのクラブで、代打で来た彼女には控室があるのに、黒人のミュージシャンたちには控室すらないのです。ステージで彼らのバックで歌っていたら突然止めろと言われ、何故かと尋ねたら「君が白人だからだ、黒人の歌手だと思ったから契約したんだ」とオーナーに言われるシーンには、60年代のアメリカの人種差別の厳しさを強く感じました。
そんな訳の分からない状態で仕事が無くなってしまったモニカでしたが、ただ一つ良かったことは憧れのエラ・フィッツジェラルドに会えたことでした。エラに自分の歌はどうかと尋ねてみたモニカに返ってきたのは、厳しいけれど一生忘れることのできない言葉でした。
人まねではなく、「自分にしか歌えない歌」を歌いなさい
それまでは英語で歌っていたモニカでしたが、母国語のスウェーデン語の歌詞で歌うようになった彼女は、スターへの道を歩み始めたのでした。
その後、紆余曲折があるのですが、スターとなった彼女の悩みは、結局は愛だったのです。再婚した映画監督も、付き合っていたミュージシャンも、彼女の心の隙間を埋めることはできず、酒に逃げて身体を壊してしまうところは余りにも切ないのです。
才能があって上昇志向もあって、頑張っているのに空回りしてしまっている時に、それを理解してくれる人がいるのか、心を許せる人がいるのか、そこが人生を上手くやって行けるのか、無駄にしてしまうのかの分かれ道なのだと感じる映画でした。
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