『第五の権力』 エリック・シュミット ジャレッド・コーエン
Googleには見えている未来
ダイヤモンド社
コネクティビティと携帯電話が世界中に普及することで、市民は過去のどんな時代よりも大きな力を手に入れるが、それは代償を伴うことも知っておくべきである。特にプライバシーとセキュリティに関わる代償だ。(本文より)
ネットの力によって、世界中の色々なことが分かるようになりました。たぶん、多くの人々がネットを意識するようになったのは Windows95が出たころでしょう。あのころ、PCを使ってネットサーフィンをすることは、1つのステータスだったような気がします。
それから約20年経った今、スマホやタブレットの普及によって、益々簡単にネットにつながる環境が揃ったのです。それは便利なことであるとともに、大きな危険もはらんでいます。
個人情報が流失してしまったり、ネットを利用した詐欺が横行したり、これまでになかった犯罪が増えています。そして、日本では余り実感がないのかもしれませんが、国境を越えたグループが形成され、それが民族問題をより大きくしているのです。
香港での選挙システムに対する反対運動があれだけ大きくなったのも、海外とネットを通じて連帯できるからなのです。香港の人たちを応援する人たちに対して、中国政府は内政干渉だと主張していますが、結果としては世界を敵に回してしまう状況になってしまっています。
某牛丼店や、某居酒屋、某エステの労働環境の悪さがニュースになったりするのもネットありきなのですが、そういうことはこれからも増えていくことでしょう。ただし問題なのは、それがどこまで本当のことか?なのです。
発信する人の主観で言葉が発せられるのですから、そのすべてが真実とは限りません。意図的にせよ、無意識にせよ、人の言葉には必ずバイアスが掛かるものです。ある人の言葉だけを闇雲に信じることの危険性も忘れてはいけないのです。
ネットの時代だからこそ「自分の頭で考える」ということ、そして「誰かと話し合う」ことが大切なのです。良く考えること、そして独りよがりにならないこと。シンプルだけど大事なことを忘れてはいけないと思うのです。
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