『大奥 第12巻』 よしながふみ
家済が母である治済将軍に反旗を翻していることを悟られないように画策し、種痘を日本国中に広める努力をする展開にもビックリしましたが、将軍を倒すために大奥内であんな計画を練っていた御代と志賀の執念は凄まじいものでした。
心ある人たちは、己の身よりもすべての人の為にと働いていたのです。その甲斐あって、赤面疱瘡は撲滅され、極端に男性人口が減っていた時代に、ついに終止符が打たれたのです。
そして、時代はいよいよ幕末へ、黒船の来航で12巻は終わりました。
この世には、永遠に続くように思われることは様々ありますが、決してそんなことはないのだと、正しいことをしようとする人の努力はいつの日にか報われるものだと、よしながさんは信じてこの物語を描いているのだと思います。
何かに疑問を感じ、それを明らかにしようとすることが、新しい時代を作っていくのだと強く強く感じました。
歴史は勝者が書き換えるもの、その陰に何があったのか闇に隠されてしまうことは沢山あります。記録に残っていないからこそ想像しなければならないことが、実に沢山あるのだろうと考えさせられる「大奥」です。
いよいよ終盤になってきましたが、次作ではどんな展開になるのでしょうか?
1686冊目(今年33冊目)☆☆☆☆☆
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