『日本奥地紀行』 イザベラ・バード
イギリス人旅行家イザベラ・バードは1878年(明治11)6月から9月にかけて東京から北海道(蝦夷地)までを旅行し、その記録を仔細に残しました。
初めて見る日本の人たち、風景など、あらゆることに興味津々なバードさんは手紙という形で記録していきました。その中で、西洋文明が入ることによって、将来日本からなくなってしまうと危惧される物や風習などに着目しているところが興味深いです。
バードさんが日本へ来て最初にお世話になったのがヘボン博士(ローマ字表記を作った方)だったり、北海道でシーボルト氏と会っていたりしています。
鉄道や船を使う以外は、徒歩、人力車、馬での旅はさぞかし大変なことだったろうと思うのですが、その大変さすらも楽しんでいるところが、バードさんの凄いところだと思います。そして、体力的な大変さよりも、初めて見る外国人である彼女を一目見ようと集まってくる日本人の物見高さに苦労したのだなと思える場面がたくさんありました。
この本を読もうと思ったきっかけは、ブラタモリの日光編です。横浜に上陸し、東京で旅行許可を取得し、旅に出た後初めてたくさんの西洋人に会えたのが日光だったのです。
130年前の日本の庶民の記録はほとんど残っていません。この本に残された庶民の暮らしや食べ物の記述は実に貴重だと思いました。今の日本人とは全く違う点もあれば、まるで変わらないところもあって、こういうのって面白いなぁ!
1231冊目(今年5冊目)☆☆☆☆☆☆
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