一分で一生の信頼を勝ち取る法
知らない人の前で話さなければならないということに緊張をしてしまうことがあります。たとえ知っている人だけであっても、その全員が自分に注目するということを考えただけで緊張してしまうということもあります。そういう緊張するシチュエーションはいくらでも考えられます。
でも、一番考えなければならないのは、その緊張をどうほぐすのかということです。そのためには緊張の原因を考えなければなりません。自分はアガリ症だからとか、話すのが苦手だからとか、いろんなことを考えれば考えるほど緊張が高まってしまいます。
緊張するのは自分のことしか考えていない証拠(本文より)
いつもと違うことをしようとするとき、それが上手くいくかどうかが気になります。ついつい失敗しちゃいけないと強く意識してしまいます。結果、自分勝手な思い込みで突っ走ってしまいます。
本来は「自分の考えを聞いて下さるみなさんに正しく伝えること」が目的であるはずなのに、その内容よりも「自分が失敗しないこと」に終始してしまうからこそ緊張が増してしまうわけです。
自分の話を聞いて下さる相手がいて、そこで話すことができるという機会を与えて戴いていると考えたら、めんどくさいなぁとか、なんで自分がとか、という発想は出てきません。「相手にどうしたらきちんと伝えることができるのか」を考えるしかないのです。
相手のことを中心に考えたら、無駄な緊張などしているヒマはないのです。
(秘訣は)演台の前や横に立つだけです。決して演台の後ろに立ってはいけません。
話し手が演台の後ろに立って原稿を読んでいるだけというのは、聞いている方にとって本当につまらないものです。それだけだったら原稿をコピーしてくれれば、それで十分じゃないかと思うことさえあります。
聴衆は、話し手が自分の言葉で話してくれるのを聞きに来ているのです。話し方が上手いかどうかよりも、言葉の中に込められた熱意や意見に興味があるのです。その話しぶりから、どういう人なのかを知りたいのです。
話し手としても、相手に分かってほしいという気持ちがあれば、おのずと前へ進みたくなるものです。演台の後ろに隠れているのは、聴衆に対する積極性の無さと取られてもしょうがないのです。
人前で話をするとき、話の内容はもちろん大事ですが、それ以外のことを忘れてしまっては伝わるものも伝わりません。立ち位置ひとつ、気持ちの持ち方ひとつで伝わるものが多くなるということの大事さを考えさせられる本でした。
1232冊目(今年6冊目)☆☆☆☆
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