『これからを生きるあなたに伝えたいこと』 瀬戸内寂聴 美輪明宏
寂聴さん93歳、美輪さん70歳。
2015年7月に長崎県美術館で「瀬戸内寂聴展」が開催された日の対談です。
人間は死に向かって生きている。
別れるために会う。死ぬために生きる。
老いるために若さがある。(瀬戸内)
知性も感性も育まれていない日本人では、
知力の戦いにおいても、たちまち敗戦してしまいます。(美輪)
お二人が憂いてらっしゃるのは、日本人が余りにも考えていないということなのじゃないかな?一人一人が何も考えていないから、何処かにいる大きな力に流されてしまうのではないかと心配してらっしゃいます。
確かに最近の日本では、明らかな情報操作が行われています。それを放置してはいけないという力も育ってきてはいますが、まだまだ気が付かずにいる人が多くて、戦前の日本のようになっているのが怖いと、お二人はおっしゃっています。
日本人は世界のことを知らないし、知ろうとする努力も少ないんです。技術があればいい、品質が良ければいい、それだけでは世界と勝負できません。センスの良さ、フェアな仕事の仕方、確固たる信念、そして正義がなければいけないのだということを、この本を読んで感じました。
心の美しさなしには生き残っていけない時代に、わたしたちは生きているのだと強く感じました。
1250冊目(今年24冊目)☆☆☆☆☆
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