『あなたの体は9割が細菌』 アランナ・コリン
抗生物質と同様、抗菌剤には役に立つべき場所がある。しかし、あなたの体はそれらが役に立つべき場所ではない。私たちはすでに微生物に対抗するための防御システムを持っている。それは免疫系と呼ばれている。私たちはこの免疫系を活用すべきなのだ。(本文より)
わたしたちの体中に細菌が存在しています。細菌をバイキンと勘違いしている人が多いのですが、実際には役に立っている細菌がほとんどなのです。その細菌をわざわざ殺してしまう「消毒」という行為は、時としてわたしたちの健康に対して甚だ大きな害を与えてしまうのです。
この本では、動物の体に存在する細菌について、様々なことを教えてくれています。その中で最もわたしが驚いたのは、母親の胎内にいる胎児がどのようにして母親の免疫系を受け継ぐのかというところでした。
母体の中にいる胎児は、いわば無菌室の中にいる状態なのだそうです。その胎児が産道を通る時に免疫の元となる母親の細菌をもらっていくのだそうです。ということは、産道を経由せずに生まれた場合、このプロセスを通ることがないので、生まれてから様々な障害が発生する確率が高くなるというのです。なのに、そういうことを知らない医師が余りにも多いということに衝撃を受けてしまいました。
医者は、運動と食生活(脂肪と糖と塩分を控えて食物繊維を増やす食生活)で健康を改善させようとするのだが、そうした患者は聞く耳を持たず、問題を薬で解決したがるという。だが、食べ物こそが薬だ。(本文より)
なんでもかんでも薬で済ませようという安易な考えを持っている人が余りにも多いから、自ら薬漬けになって自分の大事な免疫をつかさどる細菌を殺してしまっているのは、実に悲しい現実です。
どうして自分の体の調子が思わしくないのだろう?と思うとき、この本を是非読んでみてください。目から鱗の事実が余りにもたくさんあるのです。
1263冊目(今年37冊目)☆☆☆☆☆☆
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