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『脳はなにげに不公平』 池谷裕二

脳はなにげに不公平

池谷裕二(いけたに ゆうじ)

朝日新聞出版

「3歳以降、神経細胞数はほぼ一定です。」これは大切なことです。解剖組織学的にみれば脳は衰えてはゆきません。とはいえ厳密にいえば、例外があるのも事実です。それは海馬です。海馬の神経細胞は逆で、なんと増えるのです。海馬体のなかの「歯状回」と呼ばれる場所(海馬への情報の入り口に相当する脳部位)でのみ起こる不思議な現象です。(本文より)

 これまで、脳細胞は歳と共に減っていくものだと信じていました。ところが最新の研究によると、脳細胞は100歳くらいまでは増え続けるというのです。ということは、これまで信じていた記憶に関する老化の概念は間違っていたということになります。

 この本の中でもいろいろと取り上げられていますが、脳というのは本当にいい加減なものです。自分は世間の人の中でいろんな意味で平均以上であると信じている人が大半ですし、自分は正直だと思っている人が殆どなのです。

 自分は優れているに決まっているという勝手な思い込みが、自分に対する客観的な視点を持てなくしているのです。他人から自分のダメな部分を指摘されたときに怒る人というのは、その典型なのです。真に自分の姿を見つめる為には他者の視点が大事だということを切に感じます。

 

 脳は自分にとって興味あることを優先して見つけます。ですから、同じ環境にいても人によって見たり感じたりしていることが違うのです。その違いは千差万別ですから、一緒にいる人の興味の対象を分からない方が普通なのです。

 でも、相手の興味の方向性を理解したり共感したりすることは可能です。それができることによって「信頼」が生まれるのです。

 「脳はなにげに不公平」だということを知ると、今まで分りづらかった人のことがちょっと分かりやすくなっていくのだなと思うのです。

1260冊目(今年34冊目)☆☆☆☆☆

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