『火星に住むつもりかい?』 伊坂幸太郎
この小説の舞台は仙台ですが、わたしたちが知っているのとは違うパラレルワールドなのです。「犯罪を減らすため」という理由で創設された「平和警察」があって、住人が相互に監視し、密告する。危険人物とされた人間はギロチンにかけられるという怖い世界です。
この設定って、中国の文化大革命の時に作られたシステムとそっくりですよね。この物語の中では「魔女狩り」と呼ばれている密告システムで、いったん捕まってしまった人は自白を強要されて、うその自白をして死刑になるか、拷問で死ぬか、どちらにしても捕まったら最後なのです。
この世界では、あらゆるところにビデオカメラが設置されています。事件の解決のためといって設置されていますけど、それだって都合が悪ければ消されてしまいます。
こんな世界に住んでなくてよかったと思いつつも、よく考えてみれば現在の日本にだって似たようなことが存在しています。誰かの嘘をもみ消すために犠牲になる人がいたり、事故のフリをして証拠を隠滅してしまったりしています。
豊洲市場が当初の計画とはかなり違うものになってしまったのだって、誰が責任者だったのか分からないって言ってますよね。そんなことあり得ないはずなのにね!
わたしたちの生きている社会がこの小説で描かれているような変な方向へ向かっているのは間違いありません。そっちの方へ暴走しそうになった時に、黒つなぎの男のような正義の味方は現れてくれるのでしょうか?
1266冊目(今年40冊目)☆☆☆☆☆
« 『崑ちゃん』 大村崑 | トップページ | 『世界の不思議な図書館』 »
「日本の作家 あ行」カテゴリの記事
- 『きかせたがりやの魔女』 岡田淳 26-162-3921(2026.06.11)
- 『外科室』 泉鏡花、ホノジロトヲジ 26-161-3920(2026.06.10)
- 『「若者の読書離れ」というウソ』 飯田一史 26-153-3912(2026.06.02)
- 『翻訳する女たち』 大橋由香子 26-146-3905(2026.05.26)
- 『乱歩と千畝』 青柳碧人 26-141-3900(2026.05.21)



コメント