『プロレスという生き方』 三田 佐世子
著者の三田さんは、プロレス専門チャンネル「サムライTV」のキャスターをされている方です。現在のプロレス業界はかなり盛り返してきていますが、冬の時代もありました。
現在のプロレス業界は新日本・全日本・ノアというメジャー団体と、みちのくやDDTなどのインディ団体がしのぎを削っている状態です。メジャー団体はTV局とのつながりが強く、その認知度を上げていたのですが、K1などの格闘技が勢力を伸ばすにつれ、その存在が軽く見られるようになっていたのです。
かつては、プロレスとは身体の大きい人がやるものでした。でも、身体が小さくても、メジャーのような大都市中心でなくても、プロレスをやりたいと考える人が大勢いたのです。そんな人たちが作ってきたインディ団体は、様々なアイデアで活動する場所を増やしてきたのです。
スポーツとエンターテイメントを兼ね備えたところがプロレスの魅力です。
他の誰とも違う個性を持つ者だけが生き残っていける世界です。「選ばれし神の子」「大社長」「100年に1人の逸材」など、それぞれが自分の個性を前面に押し出します。
しかし、プロレスは1人でやるものではありません。相手がいて初めて試合ができるのです。相手の技をきれいに受けることができるのも一つの技術なのです。それを理解できる者だけが生き残っていくことができるのです。
知ってもらえないのは存在していないのと同じ(本文より)
これはプロレスだけでなく、あらゆる人にとっての命題です。いかに自分を、自分が属する世界を多くの人に知ってもらうために努力し続けるのです。
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