『毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代』 三浦 展
流行とかブームが消費を作っていくのは間違いありません。でも、昔と違ってきたのはその成り立ちです。
もともと、流行というのは物を作る人たちが計画を立てて作っているものです。それをTVや雑誌で拡散し、それをステキと思う人たちが取り入れることによって流行というものが成立していきます。
ところが、最近はそういう大きな力の動く流行が成立しにくくなっているのです。たとえば、毎シーズン流行りの服を着なくっちゃと思うより、安価で着心地のいい服を着る方がいいなと考え、それを実行する人が増えているのです。
昔のように「みんなが同じものを持つ」ということに対する拒否感が増えているということもあるでしょう。そして、現実は変わっているのに、モノやサービスを作る側がそれに気付けていないというところが、新しい問題なのかもしれません。
価値観の変化は目覚ましいものがあります。昔なら家族や周りの人の目があるからと、無理やり常識やら流行やらに乗らざるをえなかったけれど、今はそんなことを気にしない人が増えています。自分が心地よいと感じることを実行するのが一番大事なのです。
人と人との繋がりを求める気持ちはあるけれど、自分から進んで行くことは得意ではないし。結婚しようという気もないし。でも、楽しい毎日を過ごしていきたいと考える人たちを、どうやってまとめていくのか?どうやってシェアしていくのか?それを考えることが、これからの命題なのですね。
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