『マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと』 小川隆夫
モダンジャズの帝王マイルス・デイヴィスといえば、怖い人として有名で、インタビューをするのが至難の業と言われていました。ところが、この本の著者である小川氏はひょんなきっかけからマイルスと仲良くなり、家の電話番号を教えてもらえる程気に入られてしまったそうです。
この本を読んで感じたのは、マイルスは頭のいい人だということです。昔どんな人とグループを組んでいて、どんな演奏をしたのか、どんな人が聞きに来ていたのか、あらゆる質問に即答してくれるのです。
若い頃のマイルスは、早く吹けないから違う方向を目指したんだなんていう所が、意外と正直に話をしてくれる人なんだなって驚きました。
ロックフェスティバルに積極的に参加したり、ロック・ミュージシャンの前座でステージに上がったりしていたマイルス。あなたほどの方が何故そういうことをされるのですか?という質問にこう答えたのです。
どんなに良い演奏をしていても、小さなライブハウスで演奏していたのではだめだ。大勢の観客の前で演奏することが大事なのだ、というのです。ミュージシャンは音楽のことももちろんだけれど、ファンを増やすことを考えなければダメだと言い切っているのです。
そして、新しい音楽へ対する興味も尽きません。著者がインタビューへ訪れる度に部屋には違う曲がかかっています。80年代の音楽に対してマイルスは、聞くに値するのはマイケル・ジャクソンとプリンスだけだと言っています。
ビックリしたのは、プリンスのスタジオへ訪れてレコーディングをしたことがあるということです。いろいろ問題があって発表はされなかったというのがホントにもったいない!
そして、マイルスのアルバムの中でスティングがフランス語をしゃべっている部分があったのですが、そのギャラをレコード会社が払ってくれなかったので、自腹で払ったという所も、マイルスらしいなぁって思います。その件が原因で、そのレコード会社との契約は継続しなかったというのも、やっぱりねぇって感じです。
マイルスは音楽も、ファッションも、生き方も、全部ステキだなぁ♬ ってことを再確認してしまいました。
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