『巨人軍の巨人 馬場正平』 広尾晃
馬場さんがジャイアンツの選手だったということは知っていましたが、野球をやっているところは一度も見たことがなくて、それでこの本に興味を持ちました。
1955年~59年まで投手として馬場さんはジャイアンツに在籍されていました。でも、彼は大き過ぎたのです。手が大きいのでボールをちゃんと握れなかったこと、フィールディングに問題があったこと、それだけではない理由もいろいろあって、5年間で野球を辞めてプロレスラーになったのです。
2メートルを超す体格は、決して彼が望んだものではなくて脳の下垂体異常が原因の「巨人症」のせいだったのだそうです。その病気のために糖尿病を併発していたり、脳の中に腫瘍ができて目が見えなくなるかもしれないという危機があったり、野球選手をしながら病気と闘っていたということにビックリしました。
彼の病気を診たお医者さんから言わせると、野球選手やプロレスラーという激しい運動をしながら60歳を過ぎるまで生きられるとは思わなかったというのです。
大きな身体こそがジャイアント馬場の最大の個性であり、最大の悩みであったのですね。手先が意外と器用で絵を描く趣味があったり、優しい人柄から、大勢の人から愛された馬場さんはスポーツ選手としてだけでなく、経営者としても、人間的にも偉大な方だったのです。
高校生になった頃、正平君が履けるサイズのスパイクがなくて、野球部へ入れなかったというエピソードが悲しかったです。彼を応援してくれる人のおかげでスパイクを手に入れることができたのも、正平君の真面目で優しい人柄のなせる業だったのだと思います。パッとしなかった5年間の2軍でのプロ野球選手生活も、その後の人生の役に立ってたんだなって思うと「人生に無駄はなし」なんだなと強く感じました。
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