『意匠の天才 小村雪岱』 原田治 平田雅樹 山下裕二ほか
「美の巨人たち」で紹介されていた小村雪岱、この型のことをこの番組で初めて知りました。大正時代から昭和10年代にかけて、小説の挿絵、本の装丁、舞台美術、化粧品の容器のデザインなど、実に膨大な作品を残されています。
彼を最初に見出したのは泉鏡花でした。小説「日本橋」の装丁を任されたところから、小説の挿絵や本の装丁の仕事が飛躍的に増えたのです。
新聞連載の小説の挿絵は毎日1枚ずつ描かなければいけない、とても大変な仕事です。きちんと取材をし、時代考証を行い、小村らしい絵をきっちり描いていたのは驚くべきことです。
日本画を基本にしている小村の画風は、大胆なデフォルメ、シャープな線など、とてもデザイン的です。ですから資生堂の仕事で作成した化粧品の瓶のデザインを見ても、現代に通じるスマートなものです。
歌舞伎の舞台のデザインもされています。昭和初期に作られた小村の舞台デザインが今でも使われているということに驚き、そして、その美しい世界観にビックリしてしまいました。
こんなスゴイ人がいたということを、少しでも多くの人に知って欲しいと思うのです。
1300冊目(今年18冊目)☆☆☆☆☆
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