『ありのままの私』 安富 歩
「性同一性障害」などというものは存在しません。
私のような者に対して、嫌悪感を示す人々は(中略)男が男を好きになったり、女が女を好きになったり、男のくせに女の格好をしていたり女のくせに男の格好をされると、世の中が「無秩序」になる気がするのです。
男女の区分けを「秩序」の根源だと考えてしがみつく人々にとって、この状況は受け入れがたいのです。
こういう男女区別主義者にとって「性同一性障害」という概念は実に便利です。というのも、男女の帰属を乱すものは「かわいそう」な「障害」を持っている「異常者」だ、と思いえばいいからです。なので、そういう「障害」のある人は、手術を受けて本人が帰属したいと思っている週で暗にふさわしい身体に変造してしまえ、ということになります。(本文より)
なるほどねぇ「秩序」というタテマエで、こういう考え方を押し付けてくるわけだ!!
身体と心とが一致しなきゃいけないって決めつけてるのね。そういう人には、この著者のように体は男で、心は女で、愛するのは女っていう組み合わせはアウトなんですよね。
世の中にはいろんな人がいて、いろんな考え方があるんです。その多様性を無理やり認めなくてもいいけど、せめて邪魔はしないという社会になっていけばいいなぁと思います。
無理やり男か女かの二択を選ばなければいけないばっかりに、精神や身体に異常をきたしてしまったり、どちらも選べなくて孤独に生きなければいけなかったり、あるいは自殺しちゃったり、悲劇はいろんなところで起きているんです。でも、それが表立っていなかったからみんなが気付かなかっただけなんでしょうね。
自分に正直に生きることこそが、本当の幸せなんだっていう著者の主張はあらゆる人に当てはまると思います。そして、他人に変な中傷を浴びせてしまう人を減らすことが大事だなとしみじみ思うのです。
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