『AX』 伊坂 幸太郎
「兜さん」は優秀な殺し屋です。危険な仕事をしているのに、いつも冷静で迅速です。なのに、奥さんのことを考えると、怖くてしょうがないんです。それはもう、病気じゃないかってくらいに。
伊坂さんの作品には、これまでに大勢の殺し屋さんが登場しました。この小説の中で思い出として登場する蜜柑さん、檸檬さんをはじめとした、個性的なみなさん。お元気な方もそうじゃない方もいますが、どうも同じエージェントがらみの方たちのようなんです。
ホントはこんな仕事を辞めようと思っているんだけど、なかなか辞めさせてくれない、ブラックな業界の話が展開していきます。
同業者の方と対決するすることになっても、それを恨むでもなく、悩むわけでもなく、淡々としている兜さんって、日本人の典型なのかしらって思えてきます。
そして、最後の話で明かされるヒミツに、伊坂さんの愛が込められています。この作品は、実に伊坂さんらしい傑作だなぁって思います。
1303冊目(今年21冊目)☆☆☆☆☆
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