『捨てられないTシャツ』 都筑 響一
「捨てられないTシャツ」と聞くと、カッコいいTシャツとか、いいデザインのTシャツとかって想像してしまいますけど、実際にはそんなことはなくて、結構ダサイものが多くて笑っちゃいます。
Tシャツのデザインと、その思い入れの理由がちっともシンクロしていなくて、本人にしか分からない理由があるところがとっても面白いのです。
思い入れの文章は、ほぼ全部、Tシャツを所有しているご本人が書いています。それぞれのストーリーが、とにかく個性的で面白いんです。単なる勘違いもあれば、人生を変えるような大事件もあり、その一つ一つのストーリーにその人の考え方、生き方が反映されているのです。
この本の中で紹介されている70枚のTシャツは、どれも、いろんな意味で、もう着られないTシャツなんだけど、愛着は増すばかりなところが、共通項なんです。
死んだら、このTシャツを棺桶に入れてくれなんて、きっと誰も言い残さないだろうから、残されたTシャツを見た人はきっと、こんなもの何で大事にしまっていたんだろうって思うんでしょうね。というか、そんな感情なんかなしに捨てられちゃうのがほとんどなんだろうなぁ。
1316冊目(今年34冊目)☆☆☆☆☆
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