『日常学事始』 萩原魚雷
ご飯を作る、部屋を掃除する、洗濯する、そんな日常のちょっとしたことも、誰かにやってもらっていると、そこに生まれる面倒くささとか面白さとかってことに気づけないものです。自分でやるからこそ発見できることに、魚雷さんは面白さを見出しています。
洗濯ネットのおかげで洗濯物のからみから解放されたとか、ご飯を炊いたら小分けに冷凍しておけば、ちょっと何か食べたいときに便利だとか、こういう地に足の着いた言葉を聞くと、ホントにほっとします。
このごろ、実際に買い物に行くより通販のほうがいいとか、一人分のご飯を作るより外食のほうが安上がりだとか、何でもお金を出せばいいんだという話をずいぶん聞くようになっていて、そういうのってヤダなぁって思っていたんです。
いくら近所にコンビニがあったって、風邪でダウンしているときには買物に出られません。自分の身は自分で守るという意味でも、最低限の家事は自分でやるという魚雷さんの考え方は、実にまっとうだなぁと思うのです。
日常のどうってことないこと、でもそこが大事って考えている魚雷さんの生き方はステキです。
1341冊目(今年59冊目)☆☆☆☆☆
« 『愛のゆくえ』 リチャード・ブローティガン | トップページ | 『花咲小路一丁目の刑事』 小路幸也 »
「日本の作家 は行」カテゴリの記事
- 『お天気屋と封印屋 十年屋と魔法街の住人たち 3』 廣嶋玲子 158(2023.06.07)
- 『サエズリ図書館のワルツさん 1』 紅玉いづき 135(2023.05.15)
- 『天国からの宅配便 あの人からの贈り物』 柊サナカ 131(2023.05.11)
- 『人がつくった川・荒川』 長谷川敦 132(2023.05.12)
- 『ロシアのなかのソ連』 馬場朝子 126(2023.05.06)
コメント